消毒用アルコールはなぜ希釈されているのか?

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食中毒対策・感染症予防として広く利用され、現在では多くの公共施設に設置・利用されている消毒用アルコール。消毒用アルコールに記載されている成分分量表示をよく見ると、アルコールの濃度は76.9~81.4%程度である事にお気づきだろうか。このように、消毒用のアルコールは蒸留水によって希釈されているのだ。これは一体どういう事なのだろうか?

実は、高濃度のアルコールよりもわずかに希釈したアルコールの方が殺菌効果が高いことが知られている。適度な濃度に調節されたアルコールが浸透圧によって細菌の細胞内に透過して流入すると、空気を入れた風船のように細菌内部から外へ広がろうとする圧力が高くなり、細胞が内側から崩壊を起こして細菌は死滅する(溶菌)。

一方で 高濃度のアルコールの場合は、細菌の細胞内にアルコールが透過して流入する浸透圧と、流入したアルコールが細菌内部から外へ広げようとする圧力が互いに弱め合うので、溶菌による殺菌効果が低くなるという。また、低い濃度のアルコールは高濃度のアルコールと比較して皮膚のより深部まで浸透すると考えられている。

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消毒用アルコールの中でも特にオススメするのはジェル状だ。エタノールをはじめとするアルコール類は揮発性が高いため全体にすり込む前に乾いてしまう事が多いが、保湿効果の高いジェル状ではそのような心配はない。

高濃度のアルコールが使われない理由は他にもある。実はアルコールは酒税法により、アルコール濃度に応じた税率で酒税が課税されており、通常の消毒用アルコールも酒税法による課税対象となっているのだ。

消毒用アルコール製品には酒税法を回避する為、酒類製造の原料及び飲用を不可能にする変性剤としてイソプロピルアルコールを含有することで免税されている比較的安価な「消毒用アルコールIP」と呼ばれるものがあり、家庭などで使用する消毒液はこちらのほうがより経済的だ。