ナガサキアメンボ、実はよくいるナミアメンボだったことが明らかに

長崎大学の研究者らはこのほど、2018年に新種として記載されたナガサキアメンボが、ごく一般に広くみられるナミアメンボと同一種であることを明らかにしました。
この研究成果は日本昆虫学会の英文誌『Entomological Science』に掲載されています。

これまで、アメンボ属のアメンボはナガサキアメンボを含め、ナミアメンボ、オオアメンボ、ナガサキアメンボの3種とされていました。

2018年に発見されたナガサキアメンボ

ナガサキアメンボは2018年に新種記載されたばかりのアメンボ属のアメンボで、形態はナミアメンボにそっくりではあるものの、淡水ではなく汽水~海水にも適応していることや、ナミアメンボより動きが素早い、産卵場所や採餌の行動習性、卵の表面構造や幼虫などの違いなどから新種とされ、2018年5月に科学ジャーナル『The Canadian Entomologist』に掲載されました。

しかし今回、長崎大学の研究者らはナガサキアメンボでなくとも、ナミアメンボが汽水でも見つかることから分類を再検討。形態学的な比較と分子系統解析を行った結果、ナミアメンボと明確に区別することができないことから、ナミアメンボと同一種であると結論付けました。

研究者らによると、ナガサキアメンボは本来の生息域である河川から大雨などの増水によって河口まで流されたナミアメンボではないかと推測されるとのこと。

ナガサキアメンボは当時学生らによって発見されたもので、今回は残念な結果となりましたが、新種の発見は往々にして既知種として見逃されていた事例が多く、実に見事な切り口でした。

Reference
ナガサキアメンボの生態・分類・系統について -ResearchGate-
ナガサキアメンボは“流され”アメンボ⁉  新種として発表されたナガサキアメンボはナミアメンボであることが 形態・DNAデータから判明

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