大人の化石がほとんど発見されない新種の恐竜、実は別の恐竜の仲間だった

2020年05月13日

Ugrunaaluk kuukpikensis
Rodney / CC BY
これまで新種とされてきたウグルナールク・クークピケンシス。

北海道大学総合博物館、岡山理科大学、米国ペロー自然科学博物館をはじめとする共同研究チームは、これまで新属の新種として扱われていた恐竜が、既知の恐竜と同属であることを明らかにした。

アメリカ・アラスカ州のノーススロープ群にある「リスコム骨化石密集層」という化石産地からは、ある植物食性恐竜・ハドロサウルス科の骨が数多く発見されており、当初これらの骨はエドモントサウルス属のものとされていたが、2016年に行われた研究によってハドロサウルス亜科の新属新種であることが明らかとなった。

しかし、ウグルナールク・クークピケンシス(Ugrunaaluk kuukpikensis)と名付けられたこの恐竜は、大人の骨がほとんど見つかっていなかった。一般に、動物の骨は大人になるにつれ急激に変化するため、正確な分類がされていない可能性があったのだ。研究チームはこの分類体系を明らかにすべく調査を行った。

その結果、新設されたウグルナールク属は既知のエドモントサウルス属に固有な特徴を持ち、さらにウグルナールク属を定義していた特徴は、エドモントサウルス属にも同様か、あるいは成長によって変化する特徴であることが判明したという。その後の系統解析によって、ウグルナールク属はエドモントサウルス属の一種、特にエドモントサウルス・レガリス(Edmontosaurus regalis)に近縁であり、新設されたウグルナールク属は無効であると結論付けられた。

つまり化石発見当初、この種をエドモントサウルス属に分類していたのは間違いではなかった、ということだ。

Edmontosaurus
Rodney / CC BY
2013年当時のウグルナールク・クークピケンシスの化石展示。このときはまだエドモントサウルス属の一種として扱われていたが、2014年の研究でウグルナールク属の新属新種として分類され、今回の研究によって再びエドモントサウルス属に戻された。

これまでエドモントサウルス属は南限が北緯40度、北限が北緯53度程度であると考えられてきたが、しかし今回の研究により北限が北緯70度という、非常に広い生息域を持っていたことが明らかになった。このような広い緯度分布にも関わらず、エドモントサウルス属のバリエーションが少ないことは、骨の形状が変わるほどの大きな適応変化をしていたかったと考えられる。

その原因の一つとして、白亜紀後期は地球全体が温暖であり、緯度ごとの気温差も現代に比べて小さかったこと、そしてハドロサウルス科そのものが緯度の違いによる環境変化に適応する能力が高かったと推測されている。

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