これまでない精度で太陽表面の様子を撮影することに成功、米国立科学財団

2020年2月8日

米国立科学財団(National Science Foundation:NSF)が、ハワイ・マウイ島ハレアカラ山頂にあるダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡によって撮影された非常に詳細な太陽表面の画像を公開した。

ダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡
マウイ島ハレアカラ山頂にある、ハレアカラ天文台のダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡(画像左側)。
Ekrem Canli [CC BY-SA]

ダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡(Daniel K. Inouye Solar Telescope:DKIST)は米国立科学財団の支援によって建設され、米国立太陽観測所(National Solar Observatory:NSO)によって運用されている世界最大の太陽望遠鏡で、今回の撮影は本格運用に向けて初めて行われたものだ。ちなみに名称の”ダニエル・K・イノウエ”は、ハワイ州出身の日系アメリカ人の政治家の名前に由来している。

太陽表面の粒状斑
ダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡によって観測された、太陽表面の様子。
NSO/AURA/NSF [CC BY]

太陽表面の「粒状斑」

まるで”細胞”のような、暗く縁取られたこの粒状の模様は粒状斑(りゅうじょうはん)と呼ばれるもので、1つの大きさはなんと1,000km以上にもなる。太陽表面では本州ほどの大きさの粒状斑が、わずか数分ほどで生成・分裂・消滅を絶え間なく繰り返しているのだ。

粒状斑は下層からの熱による対流によって生じるもので、熱いガスが上昇して太陽表面の近くにまで到達すると、放射によってエネルギーを放出して温度が低下し、冷えて重くなったガスがまた沈み込む。そして、冷えたガスは下層からの加熱によって温められ、再び太陽表面へと上昇していくのだ。粒状斑を縁取っている暗い溝は冷えたガスが沈み込んでいる部分であり、間隙(かんげき)と呼ばれている。

太陽表面の観測は「コロナ加熱問題」を解く重要な鍵

太陽では、私たちの理解を超えた驚くべき現象が知られている――太陽の中心核の温度は1,500万度となっており、太陽表面に向かうにつれ温度は下がっていく。太陽表面にまで達すると温度は約6,000度となり、さらに太陽表面から500km離れた大気の層「彩層(さいそう)」では約4,000度にまで低下する。熱源から離れるほど温度が低下するのは、ごく当たり前のことだ。

しかし、彩層に突入したあたりから温度は徐々に上昇して1万度にもなり、太陽表面から約2,000km上空、太陽の外層大気である「コロナ」では温度が一気に100万~300万度にまで上昇するのだ。熱源から離れるほど高温になるという、奇妙で不可解なこの謎はコロナ加熱問題と呼ばれ、長い間多くの研究者たちを悩ませている。現在までにいくつかの有力な理論が提唱されているものの、未だに詳細なメカニズムの解明には至っていない。

いずれの理論にせよ、太陽表面で起きる現象がコロナの加熱に関与していると考えられており、この謎を解明するためには太陽表面の詳細な観測が必要不可欠なのだ。今回の観測は、これからの太陽活動をより正確に予測したり、私たちが太陽に対する理解を深めるための一歩に過ぎない。今後、ダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡が本格運用されることで、私たちがこれまで知ることのできなかった”太陽の本当の姿”が明らかになるかもしれない。

あなたにおすすめの記事

世界中の電子機器が一夜にして故障してしまうような、強力な太陽フレアが起きる可能性は?
太陽の数十~数千年分のエネルギーをわずか数ミリ秒で放出するこの天文現象は、未だ多くの謎に包まれている。
推定130mもの小惑星が、地球に接近する数時間前に発見された。なぜ小惑星は見つけられなかったのか?
「幻日」と呼ばれる気象現象が起きたとき、条件が良ければ”3つの太陽”を見ることができるという。

天文学カテゴリの最新記事