民間企業が初めて有人宇宙飛行に成功、前日には爆発事故も

2020年6月2日

SpaceX Demo-2 Mission
SpaceX Demo-2 Mission flickr photo by dmoberhaus shared under a Creative Commons (BY) license

現在、多くの民間企業が宇宙開発に取り組んでいるが、その筆頭となっているのがイーロン・マスク率いるスペースX社だ。近年では人工衛星を1万機以上打ち上げる「スターリンク計画」によって、天体観測への影響が問題となったが、宇宙開発におけるあらゆる面において常に先進的な取り組みを行っている。

参考記事

米国時間5月31日、スペースX社はNASAに所属するDoug Hurley(ダグ・ハーリー)とBob Behnken(ボブ・ベーンケン)という2名の宇宙飛行士をファルコン9ロケット及びクルードラゴン宇宙船に乗せ、民間企業で初となる有人宇宙飛行に成功した。

アメリカの発射場から宇宙に飛び立ったのは2011年、スペースシャトルが正式に引退して以来となる。スペースシャトルは再利用することが前提であり、当初の計画では低コストで運用可能と思われていたが、パーツ交換のメンテナンス費用は恐ろしくかかるうえに、安全面でも大きな問題となったため引退となった。

このファルコン9ロケットも、実は再利用可能だ。ロケット1段目部分は切り離しのあと、洋上の無人船に垂直着陸する。下の動画は、今回の打ち上げで撮影されたものだ。

まるで逆再生に見える、驚くべき着陸精度だ。この1段目部分は回収され、整備されたあとに再び打ち上げに利用される。
これまで、宇宙飛行士がISSに行くためにはロシア国営企業のロスコスモス製の宇宙船「ソユーズ」に頼るほかなかったが、スペースXによる今回の打ち上げ方式では宇宙飛行士1人あたりなんと3,000万ドル、日本円にして約32億円以上も”旅費”を節約できるというのだから驚きだ。

ファルコン9ロケットから切り離された宇宙船「Crew Dragon(グルードラゴン)」は、約19時間後に国際宇宙ステーション(ISS)とドッキングし、他の宇宙飛行士に歓迎された。ドッキングする際には手動制御テストが行われたが、通常ミッションではドッキングは全て自動で行われるという。

ハーリー氏とベーンケン氏は2人ともスペースシャトルにも搭乗したことがあるそうだが、今回のフライトは「スペースシャトルより”静か”で乗り心地が良かった」という。前日にはスペースX社のロケット試作機が燃料試験で原因不明の大爆発を起こしていたこともあり、今回のミッションとは全くの無関係ではあるが、優れた宇宙飛行士といえど不安は拭い切れなかっただろう。

爆発のストリーミング映像はこちら▽

両宇宙飛行士は今後、ISSに6~16週間滞在するという。ミッションはまだ半分で、地球への帰還にも注目だ。地球に帰還する際には完全に自動化されており、ブーストバックエンジンで制御し、大気圏に入った後はパラシュートで大西洋に着陸するという。

この帰還を含むミッションがすべてうまく行けば、今年後半には宇宙飛行士を乗せてISSに送り、再び帰還するという定期的な運用ミッションが開始され、早ければ来年にも”民間企業による民間人向け”の宇宙観光旅行が実現するという。ただし、その超高額な旅行費用を払える人は、定義はともかく、もはや”民間人”とは呼べないだろう。

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