これまで一例しか報告されていない珍しい狂犬病類似ウイルスが検出される、イタリア・トスカーナ州

Waking nightmare
Waking nightmare flickr photo by quinn.anya shared under a Creative Commons (BY-SA) license

このほど、イタリア中部のトスカーナ州アレッツォで珍しいタイプの狂犬病類似ウイルスに感染した猫が発見された。この猫は2歳のメスで、今年6月頃から突然攻撃的になり、家族に噛みつくようになった。飼い主が動物病院へと連れて行くと、獣医にも攻撃したという。

猫は別の病院に転院後、間もなく死亡が確認されたが、不審に思った専門家は何らかの神経系の異常が起きていたものと考え、バドバにある動物保護施設に脳のサンプルを送った。すると、珍しいタイプのウイルスが検出されたという。

猫から検出されたのはラブドウイルス科リッサウイルス属の一種であることが明らかになった。リッサウイルスといえば、あの悪名高い狂犬病ウイルスのグループだ。

一般にリッサウイルスと総称されるこのリッサウイルス属には、現在までに14種が確認されており、いずれも狂犬病のような症状を引き起こすことから狂犬病類似ウイルスと呼ばれている。
なかでも今回検出されたリッサウイルスは、2002年にコーカサス地方のコウモリから発見されて以降、全く報告例がなかったきわめて珍しいタイプであったという。

このリッサウイルスによって引き起こされるリッサウイルス感染症では、狂犬病と同じような症状が表れる。例えば落ち着きがなくなる、よく吠える、刺激に対して過敏になる、涎を垂らす、攻撃的になる、異物を食べるなどの症状だ。初期では逆にぐったりして元気がなくなることもある。

▽狂犬病ウイルスに感染した猫。今回ウイルスが検出された猫とは異なる。

症状が進行すると筋肉の痙攣して常に涎を垂らすようになり、神経過敏症状や攻撃性がさらに高まる。最後にはエサや水を口にすることができなくなり、立ち上がることすらできずに昏睡状態に陥って死に至るという。

この猫がどのようにして感染したのかは明らかになっていないが、恐らくコウモリが感染経路であると推測されており、現在調査が進められている。また、噛みつかれた飼い主の家族らを含む13人は抗体治療を受けており、経過観察中であるという。

狂犬病ウイルス、または狂犬病類似ウイルスは犬だけではなく、猫やコウモリ、ネズミなどのあらゆる哺乳類に感染する。流行地域では野犬だけでなく、あらゆる野生動物にむやみに近づいたり、触れないように注意しなければならない。