ピグミーシーホースの新種をアフリカで発見、太平洋以外では初めて

ピグミーシーホース
ZooKeys 『Hippocampus nalu, a new species of pygmy seahorse from South Africa, and the first record of a pygmy seahorse from the Indian Ocean (Teleostei, Syngnathidae)』より

タツノオトシゴは、タツノオトシゴ属(Hippocampus)に分類される魚の総称だ。なかでも小さなものはピグミーシーホースと呼ばれており、日本でも沖永良部島や小笠原諸島に数種が生息している。
近年、このピグミーシーホースに新たな仲間が加わったが、発見されたのは”意外な場所”であった。

これまで知られているピグミーシーホースはすべて、アジア太平洋海域に生息しているが、今回新たに発見された約2cmほどのピグミーシーホース「Hippocampus nalu」は、その太平洋海域から遠く離れたアフリカで見つかったのだ。

場所はモザンビークと南アフリカ共和国の国境付近、人気のダイビングスポットとして知られるソドワナ湾だ。このピグミーシーホースは、発見地にちなんでソドワナベイ・ピグミーシーホースやアフリカン・ピグミーシーホースと呼ばれている。

Hippocampus nalu
ZooKeys 『Hippocampus nalu, a new species of pygmy seahorse from South Africa, and the first record of a pygmy seahorse from the Indian Ocean (Teleostei, Syngnathidae)』より

2017年に、ダイビングインストラクターであるサバンナ・ナル・オリビエ(Savannah Nalu Olivier)氏がソドワナ湾の藻類について調べていたところ、小さなタツノオトシゴに遭遇した。そのとき撮影した写真は同僚に共有され、2018年には論文著者の一人であるイギリスの海洋生物学者リチャード・スミス氏の目に留まった。

ソドワナ湾の水深12~17mの海で再び発見されたこのピグミーシーホースは、間もなく新種であることが明らかになった。学名の”nalu”は、発見者となったダイビングインストラクターのSavannah Nalu Olivier氏に由来しているという。南アフリカの言葉で”nalu”は「ここにある」という意味らしく、巡り合わせのようなものを感じさせる。

このピグミーシーホースは他の種と同様に背中にはトゲを有しているが、なぜか先端までとがっているのだという。論文の著者によるとこのトゲの用途は不明だが、性選択に関わっており、メスはトゲを持つオスを好むのかもしれないと推測している。

また、通常はサンゴ礁のそばの穏やかな海に生息するピグミーシーホースであるが、このアフリカン・ピグミーシーホースはなぜか”頑丈”にできており、まだ分からない部分が多いという。
現在までに発見されている既知のピグミーシーホースはすべてこの20年間に発見されたもので、次も意外な場所で発見されるかもしれない。