同種と思われていたサルが実は異なる3種、保護状況の見直しへ

2020年7月4日

Banded Langur, Presbytis femoralis robinsoni in Kaeng Krachan national park
Banded Langur, Presbytis femoralis robinsoni in Kaeng Krachan national park flickr photo by tontantravel shared under a Creative Commons (BY-SA) license

東南アジアに生息するバンデッドラングールと呼ばれるサルの2つの亜種が、実はそれぞれ独立した種であることが野生生物保護区シンガポール保護基金の研究者らによって明らかになった。

このサルはミャンマーやタイ、インドネシア、マレーシア、シンガポールなどにまたがって分布しており、ラッフルズバンデッドラングール(Presbytis femoralis)とその亜種、ロビンソンズバンデッドラングール(Presbytis robinsoni)とイーストスマトラバンデッドラングール(Presbytis percura)の2亜種からなるとされてきた。

いずれも外見は非常に似ており、顔やお腹の白い模様が若干異なる程度の違いしかない。野生生物保護区シンガポール保護基金の研究者は、過去に作成された記録と合わせて、これらの種が亜種ではなく独立した種である可能性があることを見出した。

亜種なのか、それとも独立した種であるのかは保護活動においては特に重要だ。もし異なる種であるとするならば、たとえ広く分布しているバンデッドラングールといえど、場合によっては保護が必要な種が存在する可能性があるからだ。

研究者らはさっそく調査に取り掛かったが、その活動は困難を極めた。バンデッドラングールはおもに樹上で生活するうえに動きが素早く、警戒心が強いため人前に滅多に姿を現さない。そこで研究者らが利用したのは、バンデッドラングールの糞だ。ときに数時間かけてバンデッドラングールが移動するのを忍耐強く待ち、木の下に落ちた糞を採取し続けた。

研究者らはこの糞のサンプルを処理してDNAシーケンスを行い、それぞれのバンデッドラングールの全ゲノム配列を決定させ、過去のサンプルのデータベースと合わせて比較を行った。その結果、3種のバンデッドラングールの間には6~10%の違いがあることが明らかになったという。これは、独立した種であると見なすには十分であった。

これら3種がそれぞれ独立した種であると分かった以上、保護状況は見直さなければならない。特にラッフルズ・バンデッドラングールとイーストスマトラ・バンデッドラングールは個体数が少なく、生息域が限られていることから、レッドリストにおける絶滅寸前種(CR)に該当するという。

今回のように、本来は積極的に保護されるべき種が亜種のまま放置されている場合は少なくないという。独立した種は保護活動において注目されやすく、資金も集まりやすい。
研究者らは今後、東南アジア各国の大学や保護活動団体と協力して、研究や保護活動をさらに進めていく方針だ。

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