サンゴは高温に強い色と弱い色があることが明らかに――沖縄科学技術大学院大学

ミドリイシ属のサンゴは成長が早く、サンゴ礁の構造上では重要な役割を果たしていますが、海水温上昇の影響を受けやすく、白化現象によって今後さらに減少すると予想されています。

沖縄科学技術大学院大学の研究者らはウスエダミドリイシというサンゴを調べ始めたとき、同じサンゴの種の中でも色によって白化現象が起きやすいものと起きにくいものがあることに気づきました。


沖縄周辺のウスエダミドリイシのカラーバリエーション。
Color morphs of the coral, Acropora tenuis, show different responses to environmental stress and different expression profiles of fluorescent-protein genes

2017年の夏に行った観察では、茶色と紫色のサンゴの多くが白化し、特に茶色のサンゴでは7月から8月にかけて50%が死滅していた一方で、黄緑色のサンゴは高温に対する高い耐性があるように見えたといいます。

当初、こうしたサンゴの耐性と色の違いは、サンゴに共生している褐虫藻(かっちゅうそう)にあるのではないかと研究チームは考えました。褐虫藻は光合成から得たエネルギーをサンゴに供給する役割を果たしており、この褐虫藻のなかには気候変動に強いものがあることが分かっています。

しかし、茶色・紫色・黄緑色のどのサンゴを調べても非常によく似た褐虫藻が共生しており、特に違いは見あたりませんでした。


Ybcrf_2b flickr photo by gvgoebel shared under a Creative Commons (BY-SA) license

そこで研究チームはウスエダミドリイシのゲノムを解読したうえで、サンゴの色に関係すると考えられているいくつかのタンパク質に注目し、それぞれの色でこれらのタンパク質の遺伝子発現率がどう異なるのかを調べました。

・緑色蛍光タンパク質(GFP)・・・5種類
・赤色蛍光タンパク質(RFP)・・・3種類
・シアン蛍光タンパク質(CFP)・・・2種類
・青紫色素タンパク質(ChrP)・・・7種類

その結果、高温に強いとされる緑色のサンゴでは5種類の緑色蛍光タンパク質のうち、特に2種類の緑色蛍光タンパク質が多く発現しており、さらに夏になるとさらに多く発現することが分かりました。どうやら緑色の蛍光タンパク質は共生している褐虫藻を保護し、サンゴの高温に対する耐性に寄与しているようです。

一方で、温度上昇に最も弱い茶色のサンゴではこの2種類の緑色蛍光タンパク質の遺伝子発現がはるかに少ないことも分かりました。

興味深いのは紫色のサンゴで、この色のサンゴは蛍光タンパク質遺伝子が発現していないかわりに青紫色素タンパク質が非常に多く発現しており、緑色のサンゴよりは耐性が低いものの、茶色のサンゴよりは耐性が高いことが明らかになったといいます。

論文の特筆者は「サンゴ礁の現状に対して私たちが直接的にできることはあまり多くありませんが、このような基礎的な知識を集め、サンゴの働きを理解することは長期的な保全の観点で非常に重要です」とコメントしています。

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