東日本大震災で家に被害があった子供は将来より現在を大事にする傾向――東京医科歯科大学

東日本大震災で被災し、家屋が全壊または流出した子どもでは、未来の大きな利益よりも現在の小さな利益を選ぶ傾向があることを、東京医科歯科大学をはじめとする研究者らが報告しました。

東京医科歯科大学の研究者らは2014年、ハーバード大学、東京大学、岩手医科大学、福島リハビリテーションセンターとの共同研究で、東日本大震災時に保育園に通っていた167名の子供(被災時平均年齢4.8歳)を対象に、被災体験がこの「時間選好性」にどのような影響を与えるかについて調べました。

子供たちにはコインが5枚渡され、コイン1枚につき1個のキャンディと今すぐ交換するか、1か月後にコイン1枚につき2個のキャンディと交換するかを自由に割り振ることができます。

研究者らが年齢や性別、震災前の経済状況などの影響を考慮し、結果の解析を行ったところ、統計的に有意ではなかったものの、家屋が全壊または流出した子供では家屋の被害がなかった子供に比べて「今すぐ交換する」に0.535枚多くコインを置いていました。

この実験では「今すぐ交換」にコインを多く置くほど、目先にある小さな利益を好む傾向が高いことを意味しています。

今回の研究ではもしかしたら、将来に対する不確実性から、目先の小さな利益を選んでしまう傾向が表れたのかもしれません。ただし、今回の実験では親や友人との死別、津波・火災・遺体などの目撃といった体験との関連はみられませんでした。

研究者らは「東日本大震災から10年が経とうとするなか、被災したことの影響をより多面的に評価していくことが求められる」と説明しています。

Reference:「東日本大震災に被災した子どもは将来よりも今を大事にする傾向」― 心理的トラウマ体験よりも家屋被害が強く関連 ― 東京医科歯科大学

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。