東京都立大学理学研究科の研究者らは、絶滅危惧種として知られるトウキョウサンショウウオの体のサイズが約40年間で最大20%ほど大きくなっており、卵の数も最大で30%ほど増加していたことを明らかにしました。
トウキョウサンショウウオは福島県と関東地方(群馬県を除く)の丘陵地に生息する5~8cmほどの小型のサンショウウオで、普段は森林の林床に暮らしており、早春になって越冬から覚めると繁殖のために活動をはじめ、小さな池や田んぼなどに数十個の卵が詰まった「卵のう」を産みます。
東京都立大学理学研究科では、東京都内にあるトウキョウサンショウウオの繁殖地で個体数や卵のうに含まれる卵の数などを1976年から記録していますが、ここ約40年間のデータを解析したところ卵の数が多くなっていることに気付きました。
この繁殖地だけが特殊である可能性もあるため、研究者はさらに調査範囲を拡大し、61地点から成熟個体1,904個体、96地域から5,025個もの卵のうのデータを集め、成熟個体の体のサイズや卵の数について分析を行いました。
その結果、卵の数が増えていただけでなく、体の大きさまで増加傾向にあることが明らかになりました。
興味深いことに、高緯度(北側)の地域に生息しているトウキョウサンショウウオほど増加率が高く、体のサイズは最大で約20%、卵の数は最大で約30%も増加していたといいます。
なぜ体のサイズや卵の数が増加したのか?
研究者らがトウキョウサンショウウオの分布全域について気象庁から取得した気温データから解析を行うと、平均気温と有効積算温度がいずれも高くなっていることが分かりました。
どうやらトウキョウサンショウウオは、地球温暖化による平均気温の上昇により冬眠から目覚める時期が1か月早くなり、より多くのエサを食べられるようになったようです。
しかし気温上昇率は分布域全体では変わらなかったことから、研究者らは今後、なぜ緯度によって増加率が変化したのかを明らかにしていく方針です。
Reference:【研究発表】地球温暖化の影響でサンショウウオが大型化!? ~40年の長期観測データからわかった気候変動に対する絶滅危惧種トウキョウサンショウウオの応答~
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