ニシローランドゴリラにも「利き手」があることを確認――京都大学

京都大学、ガボン熱帯生態研究所の研究者らは、野生のニシローランドゴリラに利き手がみられることを確認し、アメリカの国際学術誌『American Journal of Physical Anthropology』にて発表しました。

私たち人間にとって「利き手」は広く一般的にみられる現象です。しかし霊長類を対象とした研究では、個体レベルで利き手が存在することは報告されているものの、それに反するような結果もあり、さらに集団レベルで利き手が存在するかどうかについてはこれまで数例しか報告がありませんでした。

そこで京都大学大学院理学研究科とガボン熱帯生態研究所の研究者らは、ガボン共和国のムカラバードゥドゥ国立公園に生息する野生のニシローランドゴリラを対象に、アフリカショウガを食べるときの行動を観察しました。


ゴリラが採食するアフリカショウガ(Zingiberaceae)。
京都大学のプレスリリースより

このアフリカショウガを食べる際には、アフリカショウガを引き抜くという「片手作業」があり、茎から髄を取り出すという「両手作業」があります。

研究者らはこの行動を2017年8月から2019年12月までの間に331日間、21頭のニシローランドゴリラを対象に4,293事例を観察し、片手作業と両手作業手のそれぞれで偏り度合いを比較しました。

その結果、アフリカショウガを引き抜く「片手作業」では使用する手の偏りが弱かったのに対し、両手作業では21頭すべての個体で極めて強い偏りが観察されました。どうやら、茎から髄を取り出すという繊細な作業では”利き手”が現れるようです。

今回の調査によると、両手作業では21個体のうち15個体が右利き、6個体が左利きを示し、統計的にも有意に右利き個体が多いことが明らかになりました。


Gorilla w/ food flickr photo by dvandae shared under a Creative Commons (BY) license

ヒトでは右利きが90%を占めており、利き手の進化と言語の獲得には関連性が報告されていますが、もしかしたらヒトに右利きが多いのは、ヒトが言語を獲得するより前の「両手使用行動」に進化的起源があるのかもしれません。

アフリカショウガは、今回研究を行ったニシローランドゴリラだけでなく、マウンテンゴリラやヒガシローランドゴリラでも採食行動が観察されるため、研究者らは多くのアフリカ大型類人猿で調査・比較を行うことができるだろうと説明しています。

エピネシス・コラムズ
利き手研究では多くの場合、ヒトには「利き手」、ヒト以外には「偏好手・選好手」と言葉を使い分けますが、ここでは便宜的に「利き手」として統一しています。

Reference:野生ニシローランドゴリラにおいて集団レベルの右利きを発見 -ヒトの利き手の進化的起源が言語の獲得より前に遡る可能性を示唆- -京都大学-

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