がんを経験したことのある男性労働者は幸福を感じている割合が高い――藤田医科大学・国立がん研究センター

がんを経験したことのある男性の労働者は、そうでない男性労働者と比較して主観的な不健康や身体的な機能の低下を訴える人の割合が高い一方、幸福を感じている割合が高いことを藤田医科大学と国立がん研究センターの研究者が明らかにしました。

がんを経験したことのある人は「がんサバイバー」と呼ばれています。これはがんを克服した人だけでなく、現在治療中の人や診断されたばかりの人も含みます。

これまでの研究により、がんサバイバーの労働者は、働いていないがんサバイバーの人よりも主観的不健康(自分自身を不健康と感じること)や身体機能の低下、抑うつ症状を訴える割合が低いことが報告されています。

しかし、がんサバイバーの労働者とがんと診断されたことのない労働者で、どのような差があるかといった報告は少なく、これまでよく分かっていませんでした。

がんサバイバーの労働者と、標準的な労働者にはどのような差がみられるのか?

藤田医科大学と国立がん研究センターの研究グループは、2011年から2016年までに「次世代多目的コホート研究」に参加した人のうち、労働者であると回答した40~65歳までの5万4,379人を対象に、がんの既往歴と主観的不健康感、身体的機能の低下、抑うつ症状、幸福感といった心身の状況を調査しました。

調査の結果、対象者5万4,379人のうち、がんと診断されたことのある人は男性で977人(男性全体の3.5%)、女性で1,267人(女性全体の4.9%)、合計で2,244人(対象者全体の4.1%)であることが分かりました。

エピネシス・コラムズ
がんの部位として多かったのは、男性では多い順に胃がん(26%)、大腸がん(22%)、前立腺がん(14%)、女性では乳がん(38%)、大腸がん(9%)、胃がん(8%)でした。

研究者らが調査結果について詳しく解析を行うと、男女ともがんサバイバーの労働者では、がんと診断されたことがない労働者に比べて「主観的不健康」を訴える割合と「身体的機能の低下」があると答えた割合が統計学的に有意に高いことが明らかになりました。

一方で、抑うつ症状がある人の割合は両者ともあまり差はみられませんでした。

がんサバイバーは標準的な労働者よりも幸福感を感じている割合が高い

興味深いことに、幸福を感じている人の割合は、がんと診断されたことのない労働者と比べてがんサバイバーの労働者では男女ともに上回っており、特に男性では統計学的に有意差が認められました。

過去の研究「男性は仕事をして稼ぎ手となることに幸福感を感じるという報告があり、研究者らは今回の結果について、がんを克服した幸福感に加え、仕事をすること・仕事ができることに幸福を感じているものとみています。

しかしながら、がんの部位やがんを罹患してからどれくらい経過しているかを考慮した分析ができていないなどの限界があり、今後もさらなる研究が必要であると述べています。

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reference:がんサバイバー労働者の心身の状態-がん既往のない労働者との比較 次世代多目的コホート研究(JPHC-NEXT研究)からの成果 -藤田医科大学-

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