つるつる滑る花びらでアリだけを滑り落とす仕組みを発見――京都大学・東京大学

京都大学と東京大学の研究チームは、ツルニンジンとコシノコバイモという釣鐘型の花を持つ2つの植物が、滑りやすい花びらを持つことでアリの侵入を防いでいることを明らかにしました。

植物の花にはさまざまな虫がやってきますが、花粉を媒介する虫がいる一方で、なかには悪影響を与える植物もいます。植物は有益となる虫のみを誘引させる一方で、悪影響を与える虫を排除することが、効率的な繁殖には不可欠です。

特にアリはしばしば、花粉媒介をせずに大切な蜜を盗んでしまうだけでなく、花にやってきた花粉を媒介する虫を攻撃することがあるため、植物の繁殖に悪影響を持つことが知られています。

つるつる滑る花びらでアリだけを滑り落とす

京都大学大学院理学研究科と東京大学大学院理学系研究科付属植物園の研究チームは、キキョウ科のツルニンジンとユリ科のコシノコバイモに注目。


ツルニンジン (Codonopsis lanceolata) flickr photo by harum.koh shared under a Creative Commons (BY-SA) license

この2種では花びらの表面がつるつると滑りやすい一方、花びらの内側には滑らない部分があります。研究者らはこれが、つるつるとした表面でアリを滑り落とす一方、ハチなどの花粉媒介者を受け入れるための巧妙な仕組みではないかと推測しました。

電子顕微鏡を使ってこのつるつるとした花びら表面の微細構造を観察した結果、微細なワックス結晶が観察されます。

研究者らが実際に花びらの上を歩かせて滑りやすさを調べてみると、何も処理していない花びらではアリが滑り落ちるのに対し、ワックスを除去した花びらでは滑り落ちる割合が減少していました。やはり、表面の微細なワックス結晶はアリの歩行に影響を与えているようです。


京都大学 プレスリリースより

また、花びらにマスキングテープを設置して橋をつくり、アリがマスキングテープの上を歩けるようにした場合では、橋を設置しないない花よりも高頻度でアリが侵入していました。

アリが花の内部にいると花粉媒介者の滞在時間が減少することから、どうやらツルニンジン、コシノコバイモは滑る花びらを持つことでアリだけを滑り落として排除し、蜜や花粉、そして花粉を媒介する虫の安全を確保しているようです。

キキョウ科とユリ科という、系統的に大きく離れた2種で同様の形質がみられたということは、こうした機構が植物でより広くみられる可能性を示唆しています。

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