外科医の誕生日に緊急手術を受けた患者の死亡率は通常の1.2倍――慶応義塾大学らの研究チーム

慶応義塾大学、カリフォルニア大学、ハーバード大学の研究者らは、外科医の誕生日に緊急手術を受けた患者の死亡率が、誕生日以外の日に緊急手術を受けた患者の死亡率よりも高いことを明らかにしました。

手術におけるパフォーマンスの高さは術後の合併症リスクと関連しており、20~30%の患者が手術後に合併症を経験し、5~10%の患者は手術後に死亡することが報告されていますが、こうした合併症のうち40~60%は回避可能であり、死亡についても20~40%が回避可能であったという研究結果があります。

研究者らは、手術におけるパフォーマンスの低下をもたらす要因の一つとして「外科医の誕生日」に注目し、アメリカの高齢者の医療データを使って2011年から2014年に47,489人の外科医によって行われた980,876件の緊急手術(当初予定のなかった手術)のデータを補正し、解析しました。

解析の結果、誕生日に手術を受けた患者では、誕生日以外に手術を受けた患者と比較して年齢、性別、人種、併存疾患、予測死亡率にほとんど差はありませんでしたが、死亡率は増加していました。

患者の年齢や持病などを考慮しても、外科医の誕生日以外に手術を受けた患者の死亡率は5.6%であるのに対し、外科医の誕生日に手術を受けた患者の死亡率は6.9%と、約1.2倍になっていることが明らかになりました。

今回の研究結果は、外科医が手術をより早く終えようと急いだり、注意が散漫になってしまうことが原因と考えられ、手術におけるパフォーマンスが仕事とは直接関係のないライフイベントに影響される可能性を示唆するものです。

また、誕生日以外でも外科医にとって何らかの「特別な日」である場合には、手術のパフォーマンスが低下している恐れがあります。

今回の研究はアメリカの医療データで検証が行われましたが、研究者らは今後、日本におけるデータを使ってさらに検証を進め、患者がいつ治療を受けるかに関わらず、質の高い医療を受けられるよう有益な知見を明らかにしていく方針です。

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