「生きた大豆」は納豆菌に抵抗、大豆と納豆菌の相互作用が明らかになる――京都大学の研究

古くから食べられている納豆でも、菌と大豆の相互作用について、まだ詳しいことはよく分かっていません。京都大学大学院農学研究科の研究グループは、大豆と納豆がどのように相互作用しているのかを調べるために、「生きた大豆」と「死んだ大豆」のそれぞれに納豆菌を接種する実験を行いました。

大豆は種子なので、新鮮な大豆はもちろん発芽能力を持っています。しかし、常温で数か月保存すると大豆は発芽能力を失ってしまいます。


京都大学プレスリリースより

研究グループは発芽能力を持った新鮮な大豆を「生きた大豆」、発芽能力のない大豆を「死んだ大豆」として、それぞれの大豆に吸水させたあとで納豆菌を接種し、37℃で保温して納豆菌の様子を調べました。

その結果、「死んだ大豆」では納豆菌がよく生育しており、48時間後には納豆特有のねばねばとした粘質成分が確認されました。一方で「生きた大豆」では、納豆菌の菌数が100分の1程度にまで顕著に抑制されており、粘質成分は認められませんでした。


京都大学プレスリリースより
48時間後の「死んだ大豆」(左)と「生きた大豆」(右)のそれぞれの様子。


京都大学プレスリリースより
大豆1粒あたりの菌数と時間のグラフ。縦が対数スケールとなった片対数グラフであることに注意してください。

また研究グループは、大豆を模した細菌用培地で納豆菌を培養し、納豆菌の遺伝子発現を調べました。その結果、大豆の細胞壁成分の分解や大豆成分の取り込み、細胞の成長や酵素分泌などに関わる遺伝子の発現が上昇していることが分かりました。

どうやら納豆菌は、大豆を栄養源として生育するために遺伝子発現を変化させており、大豆の細胞壁を分解したときの糖を栄養源としているようです。

生きた大豆は抗菌物質を分泌して抵抗する

研究グループは納豆菌のほかにも、納豆菌とは異なる菌株である枯草菌(こそうきん)を大豆に接種して同様の実験を行っていますが、納豆菌の場合と同様に生きた大豆では菌の増殖が抑えられていました。どうやら、「生きた大豆」は何らかの抗菌物質を産生して納豆菌や枯草菌の増殖を抑えていると考えられます。


京都大学プレスリリースより

今後、研究グループはこの抗菌物質を単離させて同定し、どのような細菌に対して抗菌作用を示すかを調べて抗菌物質薬剤などに活用できるか検討したり、納豆菌の生理作用をより詳しく調べ、その研究成果を高品質な納豆の製造などに利用する方針であるといいます。

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