2,000年前に起きたベスビオ火山噴火の犠牲者から”無傷”の脳細胞が発見される

イタリア・ナポリ大学の研究者らはこのほど、2,000年前に起きたベスビオ火山の大噴火で犠牲となった男性の頭蓋骨から、”無傷”な状態の脳細胞を発見したと発表しました。

研究チームらは2018年に、1960年代に発見された遺体の頭蓋骨から黒いガラス質の石を発見していました。


PLOS ONE 『Preservation of neurons in an AD 79 vitrified human brain』

この石を詳しく分析したところ、毛髪と脳組織に由来する微量のタンパク質と脂肪酸が含まれており、研究チームは噴火時の高温により脳組織が過熱され、体脂肪が燃焼したあとで脂肪分を含むタンパク質がガラス化したものであると結論付けました。つまり、この石は犠牲者の脳がガラス化したものであることが分かりました。

この研究は今年1月に発表され、研究者をはじめとする世界中の人々に驚きをもって迎えられましたが、研究チームはさらに今回、走査電子顕微鏡と高性能の画像処理ツールを駆使して、このガラス化した脳の中から”無傷”の脳細胞を発見することに成功しました。


PLOS ONE 『Preservation of neurons in an AD 79 vitrified human brain』

発見されたこの脳細胞は極めて保存状態がよく、研究者らは噴火による極度の高温と、その後の急速な温度低下によってガラス化した結果、神経細胞の構造が固化して完全な状態で保たれたものとみています。

また、研究チームはガラス化した脊髄の神経細胞を発見することにも成功しており、今回の研究に携わったローマ・トレ大学の研究者は「これらの前例のない発見により全く新しい研究が可能になる」とコメントしています。

脳のガラス化には、急速な温度低下が関与していると考えられていますが、なぜ急速な温度低下が起きたのかはほとんど解明されおらず、さらなる発見が期待されています。

この研究成果はアメリカの科学誌『PLOS ONE』に10月6日付で掲載されました。

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