テングザルは強いオスほど牙が小さいことが明らかになる、中部大学・京都大学

テングザルではハーレム型の群れを形成し、この群れがさらに複数集まって大きな集団である「バンド」を形成することが知られています。これらのハーレムは縄張りを持たず、複数のハーレムが互いに近接して生活しているため、メスをめぐってオスは常に激しい競争にさらされています。

中部大学および京都大学で霊長類を研究している研究チームらは、テングザルでは強いオスほど大きな犬歯を発達させていると予想していました。

ヒト以外の霊長類にとって最大の武器は鋭くとがった牙、すなわち犬歯です。霊長類は一般に犬歯が大きいほど強い個体であり、オス同士の競争に勝ちやすく、多くのメスを獲得することができます。

しかし、研究者らが野生のテングザルを計測して実際に確かめてみると全くの逆で、強いオスほど小さな犬歯を持っていました。


The alpha male looks back at his opponent flickr photo by shankar s. shared under a Creative Commons (BY) license

テングザルにとって犬歯を発達させるメリットは小さい

自らの遺伝子を残すためにオス同士は闘争しますが、その一方で同種の無駄な争いを避けるために、ゴリラの「シルバーバック」のような、強いオスだけが持つような分かりやすい特徴を発達させます。

テングザルの天狗のような鼻はまさに強いオスであることを示す”勲章”であり、鼻が大きいほど体重が大きく、睾丸の容量が大きい(繁殖能力が高い)傾向にあることが明らかになっています。

鼻だけで相手の強さが分かれば、無駄な争いが少なくなり、結果として犬歯を大きく発達させる必要はなくなります。

そもそも、テングザルは噛みつこうにも、大きな鼻が邪魔になると考えられます。オスと競うための武器である犬歯を発達させるよりも、メスから好まれる特徴である鼻を大きくした方が、繁殖に有利だったのかもしれません。


中部大学のプレスリリースより
研究者らが麻酔を使って眠らせ、犬歯を計測している様子。

犬歯を発達させるよりも体重を増やしたり鼻を大きくした方がメリットが大きい

テングザルではオス同士の闘争が激しいホエザルやハヌマンラングールのように、犬歯を使った直接の攻撃をほとんど行わないかわりに、樹上を飛び回って激しくジャンプし、木々を揺するという威嚇を頻繁に行います。

威嚇をする際には当然ながら、犬歯の大きいことよりも体格が大きい方がより激しく相手を威嚇することができます。

また、テングザルは草食であり、主な食べ物はマングローブの葉っぱです。あまり犬歯が大きくなりすぎると葉っぱが食べにくくなるため、食物の摂取効率が悪くなってしまいます。

このように、犬歯を発達させるよりも体重を増やしたり鼻を大きくさせた方が利点が大きく、どうやら犬歯が小さい個体ほど、体重増加や鼻の発達といった繁殖に有利な特性へのエネルギー投資に成功しているようです。

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