月面の宇宙放射線は地球の200倍、滞在は2か月が限度か

宇宙という特殊な環境では、地球上では通常起こりえないようなさまざまな健康被害が生じますが、なかでも深刻なのは宇宙放射線です。国際宇宙ステーション(ISS)に搭乗する宇宙飛行士は、しばしば奇妙な体験をすることがあります。なんと、まぶたを閉じていても視界に閃光が走ることがあるというのです。

宇宙飛行士たちの深刻な睡眠障害、宇宙飛行士の約75%が睡眠薬を服用している

これはライトフラッシュと呼ばれる現象で、網膜や脳の視覚野が宇宙放射線の照射を受けることによって起きると考えられており、太陽活動が活発になると頻繁に発生し、眠れないこともあるといいます。

地球上では通常、こうした宇宙放射線は地球の地磁気によって守られており、地上から約400km上空の国際宇宙ステーションでもある程度は保護されていますが、月面における宇宙放射線の影響はこれまでよく分かっていませんでした。

エピネシス・コラムズ
月は、地球の地磁気のように天体全体を覆うような大規模な磁場がありません。

1960~1970年代にかけて行われたアポロ計画のミッションで人類は月に到達し、数日間であれば問題ないことを実証していますが、NASAは宇宙飛行士が月にどれくらい滞在できるかを推定するための放射線量を測定していませんでした。

そこでドイツ・中国の研究者らは、中国の月探査機「嫦娥(じょうが)4号」に搭載した放射線量探査装置のデータを解析しました。その結果、月面の放射線量は1日あたり1,369μSv(マイクロシーベルト)であることが明らかになりました。これは地上のおよそ200倍、国際宇宙ステーションのおよそ2.6倍にも相当します。

研究チームらは、月への往復期間(約2週間)に受ける被ばく量も考慮すると、月面に滞在できるのはおよそ2か月が限度であると結論付けました。

しかし、月の砂「レゴリス」を月面居住施設に覆い被せて居住者の被ばく量を抑える方法が検討されており、月面での長期滞在が不可能になったわけではないようです。

あなたにおすすめの記事
月面に舞う砂埃、月の砂「レゴリス」とは? 小惑星に宇宙船を衝突させて軌道を変える計画が進行中、NASA・ESA 宇宙飛行士たちの深刻な睡眠障害、宇宙飛行士の約75%が睡眠薬を服用している 民間の人工衛星が急増、地上での天体観測に影響を及ぼす可能性

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。