細菌は糸状菌が作る「高速道路」を利用して移動し、かわりに「通行料」として栄養を分け与える

筑波大学の竹下 典男准教授をはじめとする研究チームは、細菌が糸状菌が作る「高速道路」を利用する代わりに、「通行料」として栄養を分け与えるという、とても興味深い共生関係を明らかにしました。

細菌は通常1個の細胞からなる単細胞生物で、大きさはだいたい1㎛(1,000分の1mm)ほどのスケールです。森林の土1gには1億個以上もの細菌が含まれています。

一方で、糸状菌は菌糸と呼ばれる細胞の先端を伸ばしながら分岐を繰り返し、ネットワークを大きく広げていきます。森林の土1gに含まれる菌糸ネットワークの総距離はなんと数百mにも達すると言われています。

近年、これら細菌と糸状菌はお互いに作用して、助け合っていることが分かってきました。

細菌は菌糸の上を高速で移動できる

筑波大学の研究チームは、実験でよく利用される細菌の枯草菌と、糸状菌であるアスペルギルス・ニデュランスを使って、これらの相互作用について解析を行いました。

その結果、細菌は糸状菌の上では秒速30μmという速度で移動できることが分かりました。通常、細菌だけではこのような運動性は見られません。

研究者らが詳しく解析を行ったところ、細菌は菌糸の先端(道路の行き止まり)まで移動すると、ビタミンB1(チアミン)を糸状菌に供給していることが分かりました。ビタミンB1は微生物を含むほぼ全ての生物にとって必要な微量栄養素で、糸状菌のエネルギー代謝を助けます。

細菌は糸状菌のネットワークの上をまるで高速道路のように利用するかわりに、「通行料」として栄養を糸状菌に分け与え、糸状菌は貰った栄養をもとにさらに「道路」を広げていきます。

研究チームはその後、さまざまな細菌と糸状菌で組み合わせを試しましたが、どうやら種によって決まった組み合わせがあるらしく、今後はその組み合わせを決定付ける分子機構を明らかにしていきたいとコメントしています。

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