オニヒトデの体から全く新しい細菌を発見、新科新属新種の可能性も

宮崎大学、九州大学をはじめとする研究チームはこのほど、オニヒトデの体表から新種の細菌を発見した。この細菌はオニヒトデの体表上で共在菌としてほぼ独占的に存在し、さらにあらゆる海域のオニヒトデからも確認されることから、オニヒトデにとって極めて重要な存在であると考えられる。

オニヒトデはアカヒトデ目オニヒトデ科に属する大型のヒトデで、サンゴを食べることで有名だ。といっても、あの硬いサンゴをバリボリと食べるわけではない。サンゴの本体はあくまで表面にいる小さなポリプの群体で、硬い部分はそのポリプが作り出した骨格にすぎないのだ。オニヒトデは口から胃を体外に出し、骨格表面のポリプに押し付けて消化吸収を行う。

オニヒトデは世界的に広く分布しているが、基本的にはサンゴのいない高緯度地方や大西洋には生息しておらず、しばしば大量に発生してサンゴ礁を食らい尽くすため大きな問題となっている。

オニヒトデの体表から新種の細菌を発見

これまで、オニヒトデに関しては多くの研究がなされてきたが、オニヒトデに共生するような細菌についてはほとんど分かっていなかった。そこで、宮崎大学、九州大学らをはじめとする研究チームはまず、オニヒトデの背中や腕、棘、胃などにどのような細菌がいるか、遺伝子配列を解析する細菌叢解析を行った。

その結果、ほとんどすべてのオニヒトデの体表面組織で、ある一種の細菌が独占的に存在していることが明らかになった。これほど高レベルに単一の細菌が見つかることは非常に珍しいことであるという。

さらに特殊な方法で細菌の遺伝子を赤く光らせたところ、オニヒトデの最も外側にあるクチクラ層と実質組織の間の空間にみっしりと膜状に分布していることが明らかになった。


宮崎大学 ニュースリリースより

新科新属新種の可能性も

さらに研究者らはホロゲノム解析によって全ゲノム配列を決定、得られたゲノム情報から解析を行った結果、梅毒やライム病などの原因菌として知られるスピロヘータのグループであることが明らかになった。

この細菌は海水環境に適応するための遺伝子や、菌が移動するために必要な鞭毛(スピロヘータは細胞内に鞭毛を有している)を持っているものの、移動の方向性を決定するために必要な走化性に関わる遺伝子、つまりどこに向かって移動するのかを決定するような遺伝子が見つからないことなど、他の系統とは大きくかけ離れているため、今回発見された細菌は新科新属新種の可能性もあるという。

世界中のオニヒトデからも検出される

研究者らはさらに、この細菌が世界中のオニヒトデに存在しているかどうかを調べるために、日本、オーストラリア(グレートバリアリーフ)、ハワイ、イスラエル、タイから採集された3種のオニヒトデを調べた。その結果、なんと全ての個体からこの共在細菌が発見されたという。これらのオニヒトデ3種は200万年前に分岐したと考えられているため、今回発見された新種の細菌は少なくとも200万年前からオニヒトデと共生しているとみられる。

この共在菌はオニヒトデにとって普遍的なものであり、体表面上で独占的に存在するという緊密な共生関係からも、オニヒトデにとって重要な役割を持つ可能性が高いが、詳しいことはまだ分かっていない。論文の著者は、海水中の細菌数からオニヒトデの発生予測に役立つかもしれないと述べている。

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