オガサワラシジミの飼育個体が全滅、日本で初めてチョウが絶滅した可能性

オガサワラシジミの飼育個体が全滅、日本で初めてチョウが絶滅した可能性
環境省HP オガサワラシジミより 一部加工

環境省は今月27日、国内希少野生動物種であるオガサワラシジミの飼育個体がすべて死んでしまったことを発表した。
オガサワラシジミはその名の通り小笠原諸島に固有のシジミチョウ科のチョウの一種だ。全長12~15mmほどで、国内に広く分布するルリシジミに近縁だが、翅の表側はルリシジミより青みが深い。年に数回ふ化し、2か月で世代交代する。冬になると個体数は少なくなるが、年間を通じて見ることができる。

これまでは小笠原諸島の父島と母島に数多く生息していたが、1980年代前半には父島で個体数が急激に減少し、1992年以降からは父島では確認されていない。2018年以降では母島でも確認例が途絶えていた。

個体数が減少した主な原因は、イグアナ科の外来種であるグリーンアノールだ。体長20cmほどのこのトカゲはもともとペットとして持ち込まれたもので、父島では1960年代半ばから、母島では1980年代初頭に侵入したとみられる。その他にも、干ばつや台風による被害、外来植物の侵入による植生の変化、さらにはコレクターによる捕獲圧なども個体数減少の要因とされている。

Carolina Anole (Anolis carolinensis) a.k.a. Green Anole
グリーンアノール(Anolis carolinensis)。
Carolina Anole (Anolis carolinensis) a.k.a. Green Anole flickr photo by BSC Photography shared under a Creative Commons (BY) license

東京都および環境省はオガサワラシジミ保全のためにそれぞれ、2005年から東京都が多摩動物公園、2019年からは環境省が多摩動物公園の個体を譲り受けて新宿御苑で飼育下繁殖を試みていたが、今年7月には新宿御苑で個体が全滅、そして8月25日には多摩動物公園の個体が全滅した。

全ての個体が死んでしまった原因は?

専門家らが死んでしまった新宿御苑のオガサワラシジミ個体を調べたところ、オスの精子量が短期間で極端に低下していたことが明らかになったという。どうやら、近親交配による有害な遺伝子の蓄積により、近交弱勢が生じて精子量が減少し、有精卵率が低下してしまったことが原因であるようだ。

もしオガサワラシジミが絶滅してしまったとしたならば、これが日本産チョウ類の種レベルにおける絶滅第一号であるという。世界自然遺産に登録されている小笠原諸島では、今なおオガサワラトンボやシマアカネ、オガサワラトカゲなどがグリーンアノールの脅威にさらされている。
オガサワラシジミは個体数回復はおろか、確認すらも絶望的な状況だが、さらなる被害を出さないためにも当局は全力でグリーンアノールの防除、固有種の保全を進めていくという。