衛星ガニメデにある謎の模様、実は太陽系最大の巨大クレーター

衛星ガニメデにある謎の模様、実は太陽系最大の巨大クレーター
Ganymede – July 9 1979 flickr photo by Kevin M. Gill shared under a Creative Commons (BY) license

木星には79個もの衛星が発見されているが、なかでも有名なのがガリレオ・ガリレイが1610年に手製の天体望遠鏡で発見したイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストの「ガリレオ衛星」だ。この4つの衛星は木星の衛星のなかでも大きく、双眼鏡でも観察することができる。

このガリレオ衛星のなかでも最も大きなガニメデは直径約5,268kmで、太陽系天体のなかでも9番目、水星や準惑星である冥王星よりも大きい。

惑星探査機であるボイジャー1号・2号、および木星探査機ガリレオによる観測によって得られた画像データによって、このガニメデには古い地質からなる暗い色の領域と新しい地質からなる明るい色の領域があることが分かっており、さらに古い地質の領域には”ファロウ(furrow)”と呼ばれる溝状の構造があることが知られている。

ガニメデの地図
ガニメデのメルカトル図。衛星全体に溝状の構造があることが分かる。

神戸大学と大島商船高等専門学校の研究者らによる研究チームはこのファロウに注目。過去の探査画像を詳細に解析し、大昔のガニメデを復元した。その結果、この溝状の構造であるファロウはある一点を中心に同心円状に分布しており、ガニメデの表面全体に及ぶような多重リング構造になっていることが明らかになった。このファロウは、半径7,800kmに及ぶ太陽系最大規模の衝突クレーター痕だったのだ。

研究者らはさらに国立天文台が運用する「計算サーバ」を用いて、この衝突規模を推定するシミュレーションを行った。その結果、半径150kmほどの小惑星が秒速20kmでガニメデに衝突していたことが明らかになったという。

約20億2,300万年前に落下し、地球最大のクレーターであるフレデフォート・ドームを形成させた小惑星の大きさが半径5~6km、衝突速度が秒速20kmであることを考えると比べ物にならないほどの規模だ。

Ganymede - March 6 1979
Ganymede – March 6 1979 flickr photo by Kevin M. Gill shared under a Creative Commons (BY) license
ガニメデの内部には岩石と鉄と氷が分化した層構造があり、この分化を起こすには大量の熱が必要であるが、この大規模な衝突が熱源である可能性が考えられるという。

今後は欧州宇宙機関(ESA)が推進している木星氷衛星探査計画(JUICE)において、ガニメデの詳細な地形を解析して研究結果を検証しながら、さらに詳細な調査を行う見通しであるという。