「L」と「R」の聞き分ける能力は目で分かる、豊橋技術科学大学の研究

「L」と「R」の聞き分ける能力は目で分かる、豊橋技術科学大学の研究

英語における「L」と「R」の発音は、日本語には存在しない音であるため日本人にとって聞き分けが難しい。”Light”と”Right”は同じ「ライト」、”Glass”と”Grass”は同じ「グラス」というように、日本では「L」と「R」が区別せずに読まれており、このような「L」と「R」の混同はしばしば”Engrish”と揶揄(やゆ)されている。

豊橋技術科学大学 情報・知能工学系とエレクトロニクス先端融合研究所の研究チームは、日本人にとって難しい「L」と「R」の聞き分け能力を、眼の瞳孔を調べることによって確かめることができるのではないか、と考えた。いわゆる黒目と呼ばれる部分である瞳孔は、眼に入る光の量を調整する役割の他にも、その人の意識・無意識的な関心や認知状態を反映することが知られている。

例えば、好きな食べ物や好意を抱いている人物の画像を見たり、たくさんの名前がある名簿のなかに知っている人物の名前を見つけただけでも、瞳孔はわずかに大きくなるのだ。

研究者らはまず大学生20人を対象に「L」と「R」の聞き分けが必要なリスニングテストを行い、高得点グループと低得点グループに分けた。

リスニングテストで使用された単語の一覧
light – right
glass – grass
lamp – ramp
leach – reach
flesh – fresh
pleasant – present
lane – rain
lock – rock
fly – fry
let – ret
lead – read
leap – reap
blight – bright
blues – bruise
late – rate
clown – crown
collect – correct
glow – grow
lice – rice
supplies – surprise

次に、それぞれのグループの学生には、瞳孔の大きさを測定しながら、「L」と「R」の聞き分けが必要な単語を使ってヒアリング実験を実施した。学生らには何も映らないモニターを見つめ続けながら、単語の音声をただ聞き流してもらう。

ただし、このときに再生される音声には、たとえば”light”の発音が繰り返し再生される途中で、時折”right”などの発音が異なる単語が混ざっている。このときの瞳孔の変化を測定して、「L」と「R」の聞き分け能力を確かめようというわけだ。

ヒアリング実験の結果、すべての参加者は単語の聞き分けができていたが、事前に行われたリスニングテストで高得点を取っていたグループでは、低得点のグループと比べ、ヒアリング実験で異なる単語の音声が聞こえたときに、顕著に瞳孔が大きくなっていたという。また、高得点のグループでは異なる単語を聞いた直後から徐々に瞳孔が大きくなったのに対し、低得点のグループでは瞳孔の反応が遅く、あまり大きくならなかったという。

この瞳孔の反応の違いは、どうやら単語における認知状態の差を表しているようだ。低得点のグループでは異なる単語が聞こえても、単に発音の違和感のみに反応しているのに対し、高得点のグループでは、単語の意味や語源などについても想起するため、それが瞳孔の反応に影響しているとみられる。

論文の特筆者は、リスニング能力は本人でさえ自覚することが難しく、トレーニングのモチベーションが低下する原因にもなり得るが、瞳孔の反応による客観的な計測によって、より効率的に学習することができるだろうと述べている。