授乳期に母親が運動することにより子どもが痩せやすい体質になる可能性、オハイオ州立大学

授乳期に母親が運動することにより子どもが痩せやすい体質になる可能性、オハイオ州立大学

母乳には赤ちゃんの発育に必要なさまざまな成分が含まれている。そのひとつがシアリルラクトース(3-SL,6-SL)だ。これはシアル酸と乳糖が結合した母乳オリゴ糖と呼ばれるもので、赤ちゃんが中枢神経系を発達させるために必要なだけでなく、ウイルスや細菌などの病原体に対する感染防御の役割もある。

さらに近年の研究では、このシアリルラクトースが豊富な母乳を飲んで育った子どもは、成長後も肥満や2型糖尿病、心疾患といった慢性疾患にかかりにくいことが報告されている。

アメリカ・オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターの研究者らは、運動させた母マウスの子どもは脂肪量や体重が少なく、さらに糖代謝能力が優れていることを明らかにした。この子どもマウスは、高脂肪食を与えても代謝や心機能、体組成を良好な状態で維持できたという。

興味深いことに、運動をしていなかった母マウスの子どもに、運動をしていた母マウスの母乳を与えて育てた場合でも、同様の効果が認められたという。研究者らは、シアリルラクトース(3-SL)が作れなくした母親マウスではこの効果が現れないことから、これがシアリルラクトースによるものであることを明らかにした。

ヒトでも運動をした母親ではシアリルラクトース量が増える

さらにアメリカ・アーカンソー小児栄養センターの研究者らは、139人の母親を対象に母乳をのサンプルを提供してもらい、さらに歩数を測定する活動量計を装着して、運動量と母乳の成分について解析を行った。

その結果、母親のBMI指数や運動強度(運動の負荷)に関わらず、歩数が多いほど母乳中のシアリルラクトース(3-SL)の量が増加することが明らかになったという。マウスの場合と同様に、もしかしたら授乳期における母親の運動は子どもの健康にも大きな影響を与えるかもしれない。

ただし、今回の実験では運動することによって母乳中のシアリルラクトースが増加するメカニズムの解明には至っていない。この論文は『Nature Metabolism』のオンライン版に6月29日付けで発表された。