原子核を基準にした新しい周期表「ニュークリタッチ」を京都大学が考案

periodic table

元素は化学的性質が似ているものが周期的に出現する。いわゆる周期律だ。この周期性に従って元素を規則正しく配列したものが周期表である。1869年、ロシアの化学者であるドミトリー・メンデレーエフは、元素を8個ごとに並べた短周期表を発表した。

1865年には元素は8個ごとに似た性質の元素が現れるというオクターブ則が発表されていたが、彼の大きな功績はオクターブ則を表にしたということではなく、うまく表にあわない元素は無理に合わせずに未発見として空欄にしておいたことだ。

1904年の周期表

その結果、未発見とされていた場所にガリウム、スカンジウム、ゲルマニウムなどの元素が次々と発見され、これらはメンデレーエフが予言していた性質もよく一致した。現在はスイスの化学者であるアルフレート・ヴェルナーが考案した、元素を18個ごとに並べた長周期表が使われている。

周期表は複雑な化学の世界を論理的あるいは直感的に理解するために必要不可欠なツールであり、メンデレーエフが発表した150年も前からこれまでに幾度となく改良されてきた。そして、京都大学大学院理学研究科の教授らによってまた一つ、新しい周期表が提案された。

新しい周期表、”ニュークリタッチ”

これまでの周期表は、元素の性質を決定づける電子の軌道を考慮して配置された電子の周期表であったが、この新しい周期表「ニュークリタッチ」はいわば原子核の周期表だ。

nuclear periodic table
京都大学のプレスリリースより

電子はエネルギーの低い軌道から順に入り、最外殻が埋まっているときに最も安定する。これは電子の数が 2, 10, 18, 36, 54, 86のとき、いわゆる貴ガス元素の場合であり、このときの電子の数は電子の魔法数(マジックナンバー、あるいは魔術数)と呼ばれている。通常の周期表では、この魔法数の電子をもつ元素(貴ガス元素)が右端に位置するように配列されている。

▽通常の周期表
周期表

原子核が安定する魔法数

一方で、原子核の場合においても電子のように安定するような原子核の魔法数 2 ,8 ,50 ,82 ,114が存在しており、原子核における陽子の数、あるいは中性子の数がこの魔法数である場合、その原子核は安定性が高くなることが知られている。新しい周期表であるニュークリタッチは、陽子の数が魔法数2,8,50,82,114となっている元素を右端に位置するように配列されているのだ。

▽新しい原子核の周期表”ニュークリタッチ”

nuclear periodic table
京都大学のプレスリリースより

論文著者はプレスリリースで「これまで、この原子核を基準として周期表を作成した例は”意外なことに”これまで発表されておらず、魔法数を含めた原子核の性質を学ぶ上で新たな指標として、大学の教科書など教育の場などで活用されるよう願っています」とコメントしている。

この研究成果は、Springer Nature社の学術雑誌『Foundations of Chemistry』に2020年4⽉21⽇付けで掲載されている。

エピネシス・コラムズ
・陽子の魔法数と中性子の魔法数は厳密には異なります。