何度切ってもくっつけるだけで自己修復する素材のデモ動画を公開、東京大学とカーネギーメロン大学

2020年05月20日

Self-Healing UI
vimeo Morphing Matter Labより 「Self-Healing UI」

東京大学とカーネギーメロン大学の研究者らは、自己修復能力をもつ複合材料「MWCNTs-PBS」を使用したデモ動画を公開した。この材料はポリボロシロキサン(PBS)と多層カーボンナノチューブ(MWCNTs)を複合させたもので、たとえ切断されてもくっつきあわせれば、自ら接合して”自己修復”する。何らかの薬品や熱、光などの外部刺激や補給を必要とせず、何度でも繰り返し自己修復できるのだ。

MWCNTs-PBS
vimeo Morphing Matter Labより 「Self-Healing UI」

デモ動画では、MWCNTs-PBSを使用したコントローラ型デバイスが作製されている。この材料を使ったタッチボタンのコントローラーを、接続機もなしにただ”くっつける”だけで、ピアノの鍵盤のような長いコントローラーに。

MWCNTs-PBS
vimeo Morphing Matter Labより 「Self-Healing UI」

今度はその長いコントローラーを4つに切断。なんとそれぞれがコントローラーとして機能する。元に戻すには、ただコントローラーをくっつけるだけだ。このように、まるでプラナリアのように何度でも切ってコントローラーを増やせそうなものだが、当然ながら配線は自己修復しないので、あらかじめ配線が分断されないような配置になっているという。

自己修復する素材「MWCNTs」
vimeo Morphing Matter Labより 「Self-Healing UI」

自己修復する素材「MWCNTs」
vimeo Morphing Matter Labより 「Self-Healing UI」

変形も自由自在で、腕にも巻き付けられる。傷ついても自己修復するうえ、簡単に取れる心配もないため、アクティブなシーンでも活躍が期待できそうだ。このように形状は変幻自在であり、使い方も自由自在だ。ただし、腕に巻き付けて自己修復させて固定するには少し時間が必要かもしれない。

MWCNTs-PBS
vimeo Morphing Matter Labより 「Self-Healing UI」

このハート型デバイスは、内蔵されたセンサーが切断や繋がったことを感知し、LEDが発光する。完全に元通りになるには6時間ほどかかるが、修復後はつなぎ目もなく、完全に接合する。

Self-Healing UI
vimeo Morphing Matter Labより 「Self-Healing UI」

Self-Healing UI
vimeo Morphing Matter Labより 「Self-Healing UI」

Self-Healing UI
vimeo Morphing Matter Labより 「Self-Healing UI」

自己修復する素材「MWCNTs-PBS」の安全性は?

動画でも腕に直接装着している通り、安全面については既に検証済みだ。PBSはPDMSとホウ酸から合成されているが、PDMSは医療応用で最もよく使用されるシリコンの1つで、生体適合性が高いことで知られている。また、ホウ酸は「ホウ酸団子」などのように、毒物のイメージが強いかもしれないが、哺乳動物に対する毒性は低く、コンタクトレンズの洗浄液などにも使用されているほど細胞毒性は低い。ちなみに、PBS自体も「Silly Putty」というおもちゃに利用されている。

もう一つの材料であるMWCNTsは、素材の段階ではナノ粒子の吸引が問題になるが、MWCNTs-PBSに合成された後は切断などによってナノ粒子が飛散する可能性は低く、直接触れても皮下の細胞に触れることは無いという。こちらは車のタイヤや船の部品、フィルターなどにも利用されており、安全な使用は既に実証されているようだ。

▽新素材「MWCNTs-PBS」を使用したデモ動画

Self-Healing UI from Morphing Matter Lab on Vimeo.

このデモ動画内において示されたものは、あくまでほんの一例に過ぎない。あなたは、この”夢の材料”を使って、どのようなデバイスを想像しただろうか?

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