美術館や劇場、コンサートに行く人は早死のリスクが低い―UCLの研究

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あなたは美術館や劇場などに行き、芸術に触れるのは好きだろうか?アートは人々の感性に働きかけ、人生をより豊かなものにしてくれるが、このほどイギリスの大学が発表した研究によると、どうやら美術館や劇場が好きな人々には”ある傾向”がみられるという。

美術館や劇場などに出かける習慣がある人たちは、そうでない人たちよりも早死のリスクが低いことが、イギリスのユニバーシティー・カレッジ・ロンドンの研究により明らかになった。この論文は12月18日付で医学誌『British Medical Journal(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)』に掲載されている。

研究チームらはイギリス在住の約6,000人もの50歳以上を対象に、美術館や個展、コンサートやオペラ鑑賞などのイベントに出かける頻度を2004年以降から約12年間追跡調査し、国営保険サービス(NHS)の記録を利用して、死亡リスクとの相関を調べた。

その結果、2~3か月に1度以上、美術館や劇場に出かける人は、そうでない人よりも早死するリスクが31%低下するという。さらに、興味深いことに年に1~2度、美術館や劇場に出かけている場合でも早死のリスクは14%低下したという。

なぜ早死リスクが低下したのか?

芸術に触れることが劇的な健康効果をもたらしたわけではない。研究者らは、美術館や演劇に行くような人々と、行かない人々の間には経済的もしくは社会的な状況の”格差”があったと考えている。

より良い仕事に就き、安定した収入と自由な時間が持てる人々は、健康的な食生活や十分な睡眠時間を確保したり、ストレスを解消する機会も多くなる。美術館や劇場に出かけるのは、そうした身体的・精神的な”余裕の表れ”であるというのだ。

Musée du Louvre
Musée du Louvre flickr photo by Dusty J shared under a Creative Commons (BY) license

一方で、論文の執筆者は芸術に触れることが健康に直接影響を与えていることについても言及している。アート作品や演劇を見ることで日常のストレスから解放され、さらに創造性や感性が育まれることで、より困難な状況や環境に対してうまく適応できるようになるという。
実際にカナダでは、美術館への訪問を治療として患者に”処方”している。カナダのフランコフォニー医師会はモントリオール美術館と連携して、一部の患者には家族同伴可能な無料入館券が最大50枚処方されるというのだ。

今回の研究成果は、あくまで美術館や劇場に行くことが早死リスクを低下させることを意味するものではないが、仕事に打ち込みすぎて、休みの日ですら仕事のことばかり考えてはいないだろうか?
仕事のために、休みの日を寝ることに使うのもいいかもしれないが、そうした仕事中心の生活こそが”余裕”を奪っているのかもしれない。

むしろ仕事を休んででも、美術館や劇場などを訪れてみてはいかがだろうか。図書館や映画館でもいいだろう。心身ともに健康を失い、仕事すらできなくなっては本末転倒だ。