妊娠中に味噌汁をよく飲んでいると、子どもは睡眠不足になりにくい傾向がある

miso soup

近年では睡眠に悩む子どもが増えてきているが、これには複合的な様々な要因があると考えられている。日中の運動量の減少や、食事時間の不規則化と後退、スマートフォンやゲーム機の画面から発せられるブルーライトなどだ。これらの要因により、概日リズム(サーカディアン・リズム)と呼ばれるヒトに備わった約24時間周期の体内時計がくるい、通常の時間に寝れなかったり、あるいは起きられなかったりするといった睡眠障害が引き起こされるのだ。近年では、これらの要因に加えて腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)が、概日リズムに影響を及ぼすことが明らかになっている。

腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)

私たちの体には数百兆個もの細菌が共生しており、なんと体重のうち1~2kgを占める。そのうち90%は消化管に生息しており、特に腸内では数万種類もの細菌同士が互いに勢力を保ちながら、一種の生態系を形成しているのだ。これを腸内細菌叢という。

この腸内細菌叢は、実は赤ちゃんが産道を通るときに母親から菌を受け継いで作られるものだ。赤ちゃんは母親のお腹の中では基本的に無菌の状態で過ごし、出産のときに初めて菌を獲得する。菌は赤ちゃんが生まれてから数時間で腸内に定着をはじめ、その後も授乳などによって菌が取り入れられながら独自の腸内細菌叢を形成するのだ。つまり、生まれてくる子どもの腸内細菌叢は、妊娠中および出産時の母親の腸内細菌叢が大きく影響することになる。

富山大学医学部の杉森 成実研究生らのグループは、妊娠中の発酵食品の摂取が子どもの発達や生活習慣に影響を与えるという報告や、概日リズムが腸内細菌叢に影響を受けるといった先行研究から、母親の妊娠中における発酵食品の摂取が子どもの睡眠時間に影響を及ぼす可能性があるという仮説を立て、検証を試みた。

研究グループは環境省が実施している大規模な疫学調査「エコチル調査」に参加している約72,624人の母子ペアを対象に、食事摂取頻度調査票にある味噌汁、ヨーグルト、チーズ、納豆といった発酵食品の摂取頻度と、1歳時点における子どもの睡眠時間との相関を調査した。睡眠時間は、アメリカの「National Sleep Foundation」が示した1歳児の推奨睡眠時間11~14時間を満たしていない、11時間未満を睡眠不足として定めた。

その結果、ヨーグルト、チーズ、納豆との相関は見られなかったものの、味噌汁では1日の摂取量が少ないグループと比べ、摂取量が多いグループでは有意に睡眠不足の子どもが減少したという。これは、味噌汁を摂取することによって母親の腸内細菌叢が変化し、細菌を受け継いだ子どもの睡眠時間に有意な効果をもたらした可能性があることを示したものだ。

研究グループらは、研究に利用した「エコチル調査」は母親の記憶に基づいた回答データによるものであり、今回の研究は味噌汁に含まれる成分や腸内細菌が直接影響したことを調べたものではないため、今後はこの仮説をより確かなものにするための検証を行っていく方針であると述べている。
この研究成果はアメリカの科学専門誌「PLOS ONE」に2019年10月4日付でオンライン掲載された。

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エピネシス・コラムズ
・従来まで概日リズムは約25時間周期であるとされてきましたが、近年の研究により日本人の場合は平均して24時間10分ほどであることが分かっています。

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