死亡前1年間の医療費は高齢であるほど低くなる、東京都健康長寿医療センター

2020年3月26日

死亡1年前の医療費は高齢であるほど低くなる

日本は高齢化問題が深刻であり、それに伴って医療費の増加が懸念されている。多くの人は、高齢になるほど医療費は高額になっていくと考えるかもしれない。だが、東京都健康長寿医療センター研究所の研究によると、死亡前1年間にかかった医療費と介護費の総額は高齢であるほど安くなるようだ。

東京都健康長寿医療センター研究所の研究グループは、福島県相馬市の65歳以上で死亡した高齢者882人の医療データを使い、65~74歳のグループ、75~84歳のグループ、84歳以上のグループにそれぞれ分けて、死亡前1年間にかかった医療費と介護費の総額”医療・介護費”を解析した。

その結果、死亡前1年間にかかった1人あたりの医療・介護費の平均総額は、85歳以上のグループが238万円と最も低く、次に75~84歳のグループが273万円、65~74歳のグループが395万円と、高齢であるほど死亡前1年間の医療・介護費が低くなる傾向がみられた。一般に、高齢になるほど介護費が増加すると思われるが、どうやらその介護費を合わせても医療・介護費は高齢者の方が低くなるようだ。
研究グループはさらに、1年を3か月毎に分けた四半期ごとの医療介護費と、さらに要介護状態の程度についても解析を行った。

医療介護費の総額
東京都健康長寿医療センター研究所 プレスリリースより

全体の傾向として、死期が近付くにつれてどのグループでも医療・介護費が増加していたが、要支援1~要介護3のグループでは、要介護認定のない人と比べて医療介護費は1.31倍高く、要介護4~5のグループでは1.65倍高いという結果となった。少なくとも死亡前1年間の医療介護費は、年齢が低く要介護であるほど高くなるようだ。

これは死亡した時点から1年間をさかのぼって得られた分析であり、医療従事者であっても患者の死期を1年前から正確に予測することは困難であることから、この研究成果から医療費を削減できるような知見は得られないが、高齢であるほど医療費が高くなるとは限らず、むしろ低くなること、そして介護支援の必要のない健康な状態であるほど介護・医療費が大きく減少していることは明らかだ。

将来のお金の心配よりも、まず私たちは今の健康の心配をした方が良いかもしれない。将来、病院に行くのにはお金がかかるだろうが、今からウォーキングに出かけるのにお金は必要ない。

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