アニメ『けものフレンズ』が絶滅動物の保全に大きく貢献していることが統計調査で明らかになる

2019年11月24日


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東京大学大学院の生態調和農学機構と東京動物園協会の研究チームらは、アニメ『けものフレンズ』と動物園が、市民の絶滅危惧動物への関心を高めて保全活動を促進することを調査によって明らかにした。

世界で急速に進行している生物多様性の減少、および絶滅危惧動物の増加は、専門家だけではなく一般の人々の理解や保全活動の参加、支援などといったサポートが必要不可欠だ。しかし、自ら興味を持って調べようとしない限り、こうした情報を得るための手段や機会は限られてくる。そこで重要となるのが、一般の人々が動物と接点を持つことのできる動物番組や動物園だ。

特に、研究チームは2017年1月から放映され、人気を博したアニメ『けものフレンズ』に注目した。『けものフレンズ』とは、超巨大総合動物園「ジャパリパーク」を舞台に、”フレンズ”と呼ばれる擬人化された動物たちの冒険を描いた3DCGアニメで、現在までに2期の放映が終了している。この作品に関連した動物園や世界自然保護基金などとのコラボレーションもあり、研究チームらは、このアニメによって絶滅危惧種への関心や保全行動が大きく促進されたと予想した。

研究チームは、市民の関心の指標としてGoogleにおけるインターネットの検索量とwikipediaの閲覧数に注目し、アニメ『けものフレンズ』と、さらに動物園による効果を統計的に解析した。統計データ取得にはGoogleが提供するウェブサービス「Google Trends」を利用し、地域や期間に応じた検索量と『けものフレンズ』や日本全国の動物園の相関について調査する。

その結果、『けものフレンズ』の放送中と放送後半年間において、アニメに登場する動物のGoogle検索数が600万回以上、wikipediaでの閲覧数が100万回以上増加したと推定された。検索量が増加した動物には、もともと人気のあった動物だけでなく、放映前ではほとんど注目されていなかったフンボルトペンギンやジャイアントアルマジロなどの知名度が低い絶滅危惧動物も含まれていたという。


[5772] Serval cub flickr photo by zoofanatic shared under a Creative Commons (BY) license

また、上野動物園と多摩動物公園、井の頭自然文化園で行われている過去5年分の寄付記録を解析したところ、アニメに登場していた30種の動物への寄付は、登場していない129種の動物への寄付に比べてアニメ放映後に増加しており、さらにアニメによって注目が高まった動物ほど寄付も多い傾向もみられたという。

一方で、動物園においても絶滅危惧動物への関心を高めるような影響がみられた。日本動物園水族館協会(JAZA)に所属する全国149か所の動物園・水族館で飼育展示されている92種類のほ乳類と鳥類について解析を行うと、ある県にある動物が飼育されている施設が1つでもあると、その県内での検索量は、その動物が飼育されていない県の検索量と比較して2倍になっていたという。
解析対象になった92種のうち約半数は絶滅危惧種であり、動物園は絶滅危惧動物への関心を有意に高めていたことが確認された。

研究チームらは論文で、動物アニメや動物園が絶滅危惧動物を救うための重要な役割を果たしうると結論付けたうえで、一方で『あらいぐまラスカル』や『ファインディング・ニモ』などの人気作品によって外来種の野生化や、違法採取・乱獲が問題となった事例もあり、専門家と動物保護機関、行政、メディアやエンターテイメント業界が適切に連携・協力して生物多様性の普及啓発と保全を推進していくべきと主張している。

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