ジャスティン・ビーバーが闘病していたライム病、日本でも感染する可能性は?

カナダ出身のミュージシャン、ジャスティン・ビーバー氏がライム病であったことを、2020年1月末から配信予定のドキュメンタリー動画で告白していることが明らかになった。

justin bieber
justin bieber flickr photo by Sebastian Vital shared under a Creative Commons (BY) license

ライム病とは?

ライム病は人獣共通感染症で、ライム病ボレリアと呼ばれるスピロヘータ科に属する数種の細菌によって引き起こされる。通常、この菌はネズミや小鳥などの野生動物が保菌しているが、これらの動物を吸血したマダニが、ヒトを吸血することによって媒介される。”ライム”という名前は、1975年に集団発生が確認されたコネチカット州の地名である”ライム(またはオールドライム)”に由来する。

感染した初期では、ダニに咬まれた部分で細菌が増殖し、3日~1か月ほどで皮膚に侵入し、咬まれた場所に赤い環が広がったような痒みのない発疹(遊走性紅斑)が発生する。その後、増殖した最近は血流に入って全身に運ばれ、疲労感や悪寒、発熱、頭痛、筋肉痛や関節痛などのインフルエンザに似たような症状が現れるようになる。

さらに、ライム病の一部の患者では、心機能の異常や麻痺や筋力低下などの神経系の症状、さらには記憶障害や睡眠障害、ろれつがうまく回らないといった発話障害やうつ症状などが数か月もの間続くことがある。

ジャスティン・ビーバー氏に何が起きていたのか?

このライム病では、4人に1人ほどの割合で特徴的な赤い環の発疹(遊走性紅斑)がみられないことがあり、その場合はインフルエンザなどの一般的なウイルス感染症と間違えられることが多く、ときに診断が難しいことがある。
ジャスティン・ビーバー氏は以前より、医師も診断しかねるような原因不明の体調不良が続いており、活動に支障が出ていただけでなく、世間からの重圧やライム病そのものによる気分障害などによりメンタルバランスを崩していたようだ。さらには、薬物乱用などの噂も出回るようになり、ショックに陥っていたという。

しかし、2019年の後半になってようやくライム病であると診断され、効果的な治療が行われるようになった現在では、次第に回復をみせており、徐々に活動を再開していく方針であるという。

日本でも見られるライム病

ライム病は日本でもみられており、1999年から2018年までの20年間で231例が報告されている。そのうち、なんと北海道での感染例がほとんどを占めているのだ。国立感染症研究所の報告によると、どうやら北海道以外での地域での届出例の多くは、北海道や海外での感染が原因であるという。

これは、日本においてライム病を媒介するシュルツェ・マダニが、主に北海道のほぼ全域、そして東北地方や中部地方の標高1,000m以上の山岳地帯に限局して分布しているからだ。

国内でライム病を防ぐためには、なにより媒介するマダニを防ぐことが大切だ。これは、マダニが媒介する他の病気を予防するうえでも重要である。草が茂っている場所はなるべく避けて歩き、服装もダニが侵入しないように長袖や長ズボンをしっかりと履き、必ず防虫剤を使用しておこう。

また、ライム病ではマダニが24時間以上もヒトを吸血していないと感染が起きないため、仮に保菌しているマダニに咬まれても、いち早くマダニに気付いて除去すればほとんど感染は起きないのだ。ただし、皮膚に食い込んでいるマダニを無理に引っ張ろうとせず、必ず医療機関を受診して取り除こう。

どうしても自分で抜かなければならない状況であれば、できるだけ皮膚に近い場所でダニをつまみ、つぶさないように注意しながら取り除く。無理に引っ張ろうとすると、ダニの頭部が残る場合があるのだ。その後は、少しでも体調に異変が現れたら、なるべく早く医師の診察を受けよう。

ジャスティン・ビーバー氏の回復と、さらなる活躍を期待したい。