ゲームは不整脈を引き起こして失神の原因になりうる、オーストラリア心臓専門医の報告

ゲームは不整脈の引き金になりうる

2019年に世界保健機関(WHO)は、国際疾病分類の約30年振りの改訂版となる「ICD-11」において、ゲームのやり過ぎによって日常生活が困難になっている状態を「ゲーム障害」として正式に認定した。

ゲームのやり過ぎは睡眠不足や運動不足、不規則な生活リズムを招くといった健康上の問題を引き起こし、日常生活に支障をきたすだけでなく様々な病気のリスクを高めるが、それはあくまで長期に及びゲームに没頭することによって生じるものだ。しかし、なかには突然死に繋がりかねないケースもあるという。

オーストラリアの小児心臓病専門医らは、ゲームによって不整脈を引き起こし、失神した男児3人の症例を『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(New England Journal of Medicine)』で報告した。

10歳男児のケース

10歳の男児が戦争シミュレーションゲームをプレイしている最中、ゲームに勝利した直後に意識を失った。その後すぐ意識は回復したが、今度は学校で心停止を引き起こしたという。医師が男児を調べたところ、この男児には心臓の電気伝達を妨げるような遺伝性疾患が見つかったという。

11歳男児のケース

11歳の男児が、友人と戦争シミュレーションゲームをプレイしていたところ、突然動悸を引き起こして倒れた。医師が男児を調べたところ、先天性QT延長症候群であることが分かったという。これは運動やストレスなどの心拍数の急激な増加によって心拍の乱れが引き起こされる病気で、彼の家族には原因不明の突然死が2件あり、いずれもこの疾患に関連して起きていたことが明らかになったという。

15歳男児のケース

15歳男児がゲームをプレイしている最中、ゲームに勝利した直後に意識を失った。彼は乳児の頃に心臓に欠損が発見されており、手術を受けていたという。病院に運ばれた男児は医師らによって通常の心拍に回復したが、再び問題が起きることを懸念した医師らは、男児の心臓に除細動器を埋め込んだ。2か月後、彼は同じゲームのプレイ中に再び発作を引き起こしたが、今度は除細動器のおかげで心拍は正常に回復したという。

これらのケースはいずれも、あくまで心臓に問題のあった子どもが、ゲームをきっかけに不整脈を引き起こし、失神に至ったに過ぎず、ゲームそのものに原因があったわけではない。
しかし、ここで重要なのは「心臓病を持つ子供たちにとってはゲームも不整脈のきっかけになりうる」ことだ。心臓に持病がある場合、激しい運動などは制限されることがあるが、ゲームをプレイすることによってもたらされる強い興奮状態も、激しい運動と同様に心臓へ負担をかける恐れがあるのだ。

論文の著者はさらに、3つの症例のうち2つが、これまで心臓疾患と診断されていなかった点についても注目すべきであるという。子どもにおいて失神がみられること自体はそう珍しくはなく、原因は多岐にわたるが、ゲームで興奮しているときに子どもが気を失った場合は注意が必要だ。

モニターの光によって光過敏性発作を引き起こすケースもあるが、なかには治療が必要な心臓疾患の徴候である場合もあるのだ。また、特定の心臓疾患を持つ子どもにおいても、激しい運動だけが不整脈を誘発させるとは限らないことを十分に理解しておく必要があるだろう。