ウエストバージニア大学とOuraにより、新型コロナウイルス感染を検知するスマートリングが開発された。Oura公式ページOuraring.comより
新型コロナウイルス感染症は、感染初期には症状がほとんど出ない期間があり、これが感染拡大防止策の大きな障害となっていた。
このほど、ウエストバージニア大学ロックフェラー神経科学研究所および医学部は、フィンランドの新興企業Oura(オーラ)と共同で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染兆候をいち早く検知するシステムを開発した。
このリングは、見た目こそ普通の金属製の指輪だが、実は本体にセンサーが内蔵されており、体温や心拍数だけでなく、活動量や睡眠パターンなどのあらゆるバイタルデータを解析する。
もともとはOuraが開発していた製品で、これらのデータを利用して最適な生活習慣を提供する、いわばスマートリングの一種であるが、研究チームは約600人もの感染者データを解析して、感染者に特徴的な情報を組み合わせた。
研究者らはさらにAIモデルを開発して、自覚症状が現れる前に発症を予測できるようにした。開発はまだ初期段階ではあるが、その予測精度は既に90%に達しているという。
検知された異常はもちろん新型コロナウイルスでない場合もあるが、自覚症状が現れてから受診する場合と比べると、最低でも3日は短縮することができるだろう。
また、新型コロナウイルス感染症をいち早く受診・治療ができるだけでなく、夜更かしや過度な運動などの悪影響を及ぼす行動を事前に中止することもできそうだ。
研究者らは次の段階として、他の研究機関の協力を得て約1万人にリングを装着してもらい、データを集めるという。新型コロナウイルスは、感染兆候として味覚・嗅覚障害などが現れるケースが報告されているが、「なんとなく味・匂いがしない」など、症状がはっきりとしない場合が多い。このリングの開発が進めば、こうした曖昧な感覚に頼ることもなくなりそうだ。
参考記事
新型コロナウイルス感染初期に味覚障害と嗅覚障害を訴えるケースが多く報告される
初期感染者による感染拡大はこれまで防ぎようがなかった。このようなスマートリングが開発・販売されれば、今回の新型コロナウイルスだけでなく、あらゆる感染症の拡大を防ぐことができるようになるだろう。