太った人は新型コロナウイルスで重症化しやすい、米ニューヨーク大学の研究

2020年5月1日

A Matched Set
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、これまでの報告によって高齢者や、糖尿病,心不全,呼吸器疾患などの基礎疾患がある場合に重症化リスクが高いことが分かっているが、アメリカのニューヨーク大学の研究によれば、肥満も重症化リスクを高める要因になりうるという。

新型コロナウイルスの被害が最も大きいニューヨーク州では、現時点で死者数が1万8,000人を上回り、アメリカにおける死者数の約1/3を占めている。ニューヨーク大学の小児感染症研究者であるジェニファー・ライター氏は、どのような人々が新型コロナウイルス感染症で重症化しやすいのかを明らかにするために、ニューヨーク市内の新型コロナウイルス患者を対象に調査し、解析を行った。

その結果、新型コロナウイルス感染症の患者は、60歳未満であってもBMIが高値である場合はより重症化しやすいことが明らかになった。BMI指数は肥満度を表すもので、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出することができる。例えば体重60kg、身長1.6mの人ではBMI指数は23.4だ。世界保健機関(WHO)の基準では、このBMI指数が30以上を肥満としている。

肥満の患者は新型コロナウイルス感染症で重症化するリスクが有意に高い

今回のニューヨーク大学の研究によると、BMI指数が30~34の患者では、30未満の人と比較して緊急入院の頻度が2.0倍、ICU(集中治療室)の入室頻度が1.8倍となり、さらにBMI指数が35以上の患者では緊急入院の頻度が2.2倍、ICUの入室頻度が3.6倍になったという。ただし、60歳以上ではBMI指数による有意な重症化の上昇はみられなかったという。

肥満は一種の基礎疾患であるとみていいだろう。研究チームらは、肥満の患者は睡眠時無呼吸症候群や喘息、胃食道逆流賞などを併発している可能性が高く、これらが呼吸器に影響して新型コロナウイルス感染症を悪化させている可能性が高いと指摘している。また、新型コロナウイルス感染症の罹患率および死亡率が他の国よりも高い理由について、研究チームらは論文において「国民の40%が肥満であり、死亡率に影響を及ぼしていることは疑いない」と結論付けた。

BMI指数の算出方法は全世界で共通しているが肥満の基準は異なっており、日本ではBMI指数25以上を肥満としているが、世界保健機関(WHO)における肥満の基準値内、つまりBMI指数30未満であるからといって安心はできない。肥満は、不健康な食事や運動不足といった生活習慣の表れであり、新型コロナウイルス感染症をはじめとする、あらゆる疾患の発症や重症化に大きく影響しているからだ。

特に女性では肥満だけでなく”痩せ過ぎ”にも注意が必要

また、肥満だけでなく「やせすぎ」にも注意しなければならない。例えば日本における30代女性の平均身長は約160cmで、理想的なBMI指数である「22」から逆算すると、適正体重は56kgということになるが、一部の女性にとってこの体重は「太り過ぎている」と思われるかもしれない。

厚生労働省が平成29年に行った調査によると、20代女性では21.7%、30代女性では13.4%、40代女性では10.6%がBMI指数18.5未満、いわゆる「やせ」に該当するという。体形を整え、体重を減らすために偏った食生活や無理なダイエットを行うと、栄養不良や免疫力低下を引き起こし、感染症に対する抵抗力を大きく低下させてしまうことになりかねないのだ。

現在は外出自粛が呼びかけられており、運動習慣を始めることは難しいかもしれないが、健康的で規則正しい生活習慣を見つめ直すいい機会かもしれない。これはたとえ、新型コロナウイルス感染症を予防するための”一時的なもの”でも構わない。免疫力を高めるというよりは、あなたに備わっている”本来の免疫力”を取り戻すだけなのだ。

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