未承認の新型コロナウイルス治療薬成分を独断で服用したアメリカの夫婦が緊急搬送

新型コロナウイルスとクロロキン

新型コロナウイルスに有効な治療薬として注目されている抗マラリア薬、「クロロキン」を自己判断で服用したアメリカの夫婦が病院へ搬送され、68歳の男性が死亡、61歳の女性は重篤な状態で治療を受けているという。

今年3月23日、アメリカのトランプ大統領は新型コロナウイルスの治療薬として、抗マラリア薬のヒドロキシクロロキン、およびその代謝産物であるクロロキンが使用できるように、当局が迅速に承認を進めている(一部では承認されている)と発表し、”game changer” ”gift from God”とさえ発言していた。

この報道を信じたアリゾナ州の夫婦は、治療薬としての服用ではく、新型コロナウイルス感染の予防として、家にあった飼育水槽の薬剤として使用されるリン酸クロロキンを服用。30分以内に容態が悪化し、近くのバナーヘルス医療センターへと搬送された。男性はその後死亡し、女性はなんとか一命は取り留めたものの、現在も治療を受けているという。

クロロキンは1934年にドイツで最初に合成されたが、当初は毒性の強さから実用化を断念するほど薬理作用が強く、致死量は4gにも満たない。そのため、一部地域では安価な自殺用薬物として使用されているほどだ。

新型コロナウイルスによってはじめて死者が出たばかりのナイジェリアでは、トランプ氏の発言をきっかけに一部地域でクロロキンの価格が高騰。今年3月24日に3人がクロロキンの中毒症状によって病院に入院したという。

清掃用として使用されるクロロキンを、ましてや治療ではなく予防として服用した今回の例は、情報社会における混乱がもたらした悲劇といえるだろう。日本でも「新型コロナウイルスにアルコール消毒が効かない」、「飲酒によって予防できる」といった誤った情報が日々発信されている。どのような情報を目にしたとしても、最終的に判断するのは自分自身だ。正しい知識と思考をもって、これからも予防に努めよう。