新型コロナウイルスの感染者が”0人”の北朝鮮、情報統制か

North Korea — Kaesong
North Korea — Kaesong flickr photo by (stephan) shared under a Creative Commons (BY-SA) license

世界各地で感染が拡大している新型コロナウイルス。特にアジアでは発生源である中国を中心として各地で感染者数が急増しており、緊迫した状況が続いているなかで全く感染が確認されていない国がある。中国と隣接し、ウイルス侵入リスクの高い国であるはずの北朝鮮だ。


Coronavirus 2019-nCoV Global Cases by Johns Hopkins CSSE

北朝鮮の公式声明によれば、国内における新型コロナウイルスの感染者は確認されておらず、ウイルスの侵入を完全に防いでいるという。

完全な防疫を主張する北朝鮮

北朝鮮国営の報道機関である朝鮮中央通信は、保健当局が”緊急事態宣言”を行ったと報道し、国内の各地でウイルスの侵入や感染有無の監視、感染の拡大を防止するための対策本部が設置されたという。

現在、北朝鮮ではすべての外国人旅行者に対しての入国を禁止しており、保健当局はもしウイルスが国内に侵入したとしても、既に確立されている”検査試料の流通システム”によって、感染が疑われる場合には直ちに新型コロナウイルスの感染であることを診断できる態勢が整っていると説明している。

複数の専門家はこれらの説明に対してかなり懐疑的な見方を示しているが、厳戒態勢であることは確かなようだ。2月8日に北朝鮮は軍創建記念日を迎え、軍事パレードが行われると推測されていたが、当日は特に目立った動きはみられなかったという。専門家らは、新型コロナウイルスの防疫対策を優先させた結果であると見ている。

一部で感染者の報道も

その一方で、一部の北朝鮮情報サイトでは新型コロナウイルスとみられる感染者が中国に隣接する新義州や義州、さらには平壌で確認されたと報じており、徹底的な情報統制によってその事実を隠蔽している可能性があるという指摘もある。

近年脱北した医師の証言によると、北朝鮮ではあらゆる医薬品が不足しており、徹底した患者の隔離や監視などは難しいという。現在、北朝鮮は国際社会から経済制裁を受けているうえに、貿易の9割を占める中国との国境を封鎖したことによって、さらに難しい立場に追い込まれている。

もし、現在の北朝鮮で新型コロナウイルスの感染が拡大した場合、基礎的な医療すらも不十分な状況では人口密集地で蔓延する恐れがある。交通インフラが不十分であり、国内の移動すらも困難であることが今回は救いとなるだろう。

新型コロナウイルスへの対応が、今後の外交に大きな影響をもたらすことは間違いない。専門家らによれば、新型コロナウイルスによって厳しい状況ではあるが、これを口実に非核化をめぐる交渉の時間稼ぎをするチャンスでもあり、少なくとも政治的にはデメリットだけではないようだ。新型コロナウイルスの動向と共に、関連する国際情勢も注視していく必要があるだろう。