サンタクロースのソリを引くトナカイは全て「メス」?

2019年12月25日


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サンタクロースといえば、トナカイが引くソリに乗って、空を飛ぶイメージを思い浮かべる人は多いだろう。サンタクロースのモデルは聖ニコラウスだが、この聖ニコラウスがはじめて「サンタ」として描かれたのは1809年のワシントン・アーヴィングが描いた『ディートリヒ・ニッカーボッカーのニューヨーク史』でのこと。これによると、聖ニコラウス(サンタ)が乗っているのはトナカイが引くソリではなく馬車であったという。

この空飛ぶ馬車にのって子どもたちの屋根の上を飛び回り、良い子たちにはプレゼントを、悪い子たちにはムチに使うための小枝を配って回ったという。「良い子にしかプレゼントが来ない」という伝承もこのときに完成されていたが、どうやら悪い子にもしっかり”プレゼント”が用意されていたようだ。

サンタクロースのトナカイ

トナカイが初めて登場するのは1821年、作者不明の『子どもたちのお友達』という作品でのこと。1頭のトナカイが、サンタクロースの乗ったソリを引く姿がはじめて描かれたという。
私たちがよく知るサンタクロースの姿が描かれるようになるのは1822年、クレメント・クラーク・ムーアが書いた『サンタクロースが来た』または『クリスマスの前の晩』として知られる作品が登場してからだ。ここでようやくトナカイが8頭になり、現代のサンタクロース像が確立されることとなる。

さて、この8頭のトナカイは”ある生理的機構”によって、性別を推測することができる。
トナカイではシカ科のなかでも唯一、オスとメスそれぞれが角を持っている。この角は1年サイクルで抜け落ち、また生えてくるが、実はオスとメスとでは角が生えてくる時期と抜け落ちる時期はそれぞれ異なる。オスでは春から角が生え始め、秋から冬のはじめにかけて抜け落ちるが、メスでは冬から角が生え始め、来年の春から夏にかけて角が抜け落ちるのだ。

冬に角を持っているのはメスだけ

9月~10月頃の繁殖期を迎えると、オスは角を突き合わせてメスを奪い合うが、繁殖期が過ぎて冬が来ると角はもう必要ない。しかし、メスの場合は来年に出産して子育てをするための栄養を蓄えなければならないため、角を使って雪をかき分け、エサとなる地衣類を掘り起こす必要があるのだ。

シカ科で唯一、トナカイがオスとメスそれぞれに角があるのはこのためであり、サンタクロースのソリを引くトナカイに角があれば、それは冬でも角を持っているメスである可能性が高いというわけだ。


Reindeer flickr photo by mrpolyonymous shared under a Creative Commons (BY) license

サンタクロースのソリを引く8頭のトナカイには、実はそれぞれ名前がある。ダッシャー(Dasher)、ダンサー(Dancer)、プランサー(Prancer)、ヴィクセン(Vixen)、コメット(Comet)、キューピッド(Cupid)、ダンダー(Dunder)、ブリクセム(Blixem)だ。”赤鼻のトナカイ”で知られるトナカイはこのいずれでもない。新入りのルドルフ(Rudolph)は9頭目のトナカイだ。

これらは上記の推測によればすべてメスということになるが、あなたがクリスマス・シーズンに見るトナカイは本当にメスだろうか?メスとは違ってオスは大きく立派な角が生える。もしかしたらそれは、角が抜け落ちるのが遅れているだけのオスかもしれない。このようなことを考えてみると面白いが、クリスマスに恋人と過ごす大切なひとときに持ち出す話題ではないかもしれない。クリスマスに何が起きても、当サイトは一切の責任を負わないものとする。

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