警視庁生活環境課はこのほど、東京工業大学から遺伝子組み換えされたメダカを持ち出し、飼育したとして千葉県在住の男性ら5人をカルタヘナ法違反で逮捕したと発表しました。このカルタヘナ法による逮捕は全国初であるといいます。
カルタヘナ法とは?
カルタヘナ法は”遺伝子組み換え生物等を使用等する際の規制措置を講じることで、生物多様性への悪影響の未然防止等を図る”ことを目的としたもので、遺伝子組み換え生物を用いて行うあらゆる行為について先立ち、生物多様性に影響がないか、あるいは管理が適切であるかなどを審査する規制措置のことです。
今回そのカルタヘナ法違反に該当したのは、遺伝子組み換えされたミナミメダカで、イソギンチャクモドキに由来する遺伝子が導入されており、ピンク色に蛍光発色する性質を有しています。
遺伝子組み換え “光る”メダカ販売か 全国初「カルタヘナ法」違反で逮捕 -FNNプライムオンライン Youtube-
東京工業大学の発表によると、主犯者はかつて遺伝子組み換え淡水魚を使用する研究室に所属し、飼育管理作業に関わっていた人物で、卵などを自由に持ち出し可能な状況にあったとのこと。
その後は就職のため退学しており、2009年に卵が持ち出されて以降、学外で繁殖されたのち譲渡などにより拡散したとみられ、今回容疑者らの自宅からはおよそ1,400匹ものメダカが押収されました。
販売することが違反なのではない
カルタヘナ法は前述通り、遺伝子組み換え生物の「あらゆる行為」について適用されるため、今回の場合はメダカを”販売”したことによる違反ではなく、販売までの持ち出し(運搬)、所持(飼育)、廃棄(放流含む)すべてが違反行為となります。
警視庁からの情報提供書によると、今回逮捕されたのは5名、東京地方検察庁へ書類送致されたのが4名で、違反内容は以下の通り。
逮捕者A 販売目的の運搬
逮捕者B 10匹の育成
逮捕者C 販売目的の運搬
逮捕者D 育成、用水路に廃棄
逮捕者E 約2匹の育成
書類送致F 約20匹の育成
書類送致G 5匹の育成
書類送致H 3匹の育成
書類送致I 3回の運搬
また、刑罰については「遺伝子組み換え生物等の使用等の規則による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)」の違反により、罪名は同法律第4条第1項の第一種使用等に係る規定の承認、罰条は「半年以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金、又は併科」となっており、今回は初の逮捕ということで今後の発表が待たれるところです。
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Reference
カルタヘナ法の概要 -経済産業省-
遺伝子組換えメダカの学外持ち出しに係る文部科学省からの厳重注意について -東京工業大学-
遺伝子組換えメダカの未承認使用の確認について -環境省-