胸に銃撃を受けた女性が豊胸シリコンにより九死に一生を得る、カナダ・トロント

胸に銃撃を受けた女性が豊胸シリコンにより九死に一生を得る
photo by SAGE journals 『Life-Saving Silicone Breast Implant After Firearm Injury: Case Report and Treatment Recommendations』

今年、社会科学の電子ジャーナル『SAGE journals』に驚くべき論文が発表された。銃撃を受けた女性が、胸部に埋め込まれていたシリコンバッグのおかけで九死に一生を得たというのだ。

2018年、カナダ・トロントに住む30歳の女性が夕方、通りを歩いていると左胸に強い痛みと熱を感じ、血が出ていることに気付いた。女性はその後、自ら救急外来を受診。病院では左乳房に銃創が確認され、右乳房からは弾丸が発見されたが、自力で歩き、そして会話ができるほどに容態は安定していたという。

摘出された弾丸は0.4口径のもので、いつ撃たれたのか、犯人は誰なのか未だに明らかになっていない。どうやら左胸上部から入射した銃弾は、最初に左側の乳房に埋め込まれていたシリコンインプラントに直撃し、弾道が逸れて胸部中央にある胸骨を突き抜け、右側の肋骨を砕いて右腋下部で停止したようだ。

もしシリコンインプラントが無かったなら、弾丸はそのまま肺や心臓などの重要な器官に損傷を与えていたところだ。医療用シリコンインプラントは、病気や事故などによって失われた乳房を作る乳房再建術や、乳房を大きくするための豊胸術などで使用される。今回被害を受けた女性は豊胸のために施術していたようだ。

こうした医療用シリコンインプラントの挿入には、乳がんの発見および検査などの妨げになる場合があるほか、まれにブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)などの発症リスクもあるが、今回の論文によるとこの特殊なリンパ腫を発症する可能性は、アメリカにおいて女性が”銃による暴力”を受ける確率よりも低いという。

参考記事
481人が人工乳房によって特殊ながんを発症、製品を自主回収へ

女性はシリコンインプラントを除去し、胸部の治療を行って、抗生剤を服用するだけの短期治療で済んだという。今回の事例は、まさに不幸中の幸いであった。