シロナガスクジラの心拍数測定に成功、最低値は1分間にたった2回の拍動

シロナガスクジラ

アメリカ・スタンフォード大学の研究者らは、シロナガスクジラの心拍数を世界で始めて測定することに成功した。

シロナガスクジラはナガスクジラ科に属する世界最大の動物であり、これまでに記録されている最大全長は約34m、体重は推定200トンにも達する。その巨体に隅々まで血液を送るための心臓も、他の動物とは比較にならない大きさだ。2014年にカナダのニューファンドランド・ラブラドール州に打ち上げられ、2017年にトロントのロイヤルオンタリオ博物館に展示されたシロナガスクジラの心臓は、1.5m×1.2m×1.2mほどで大人が数人ほど収まる大きさだ。重さはなんと約180kgもあったという。

水中で生活する生物は、陸上で生活する生物とは異なり、重力に逆らって血液を押し上げる力は小さくて済むため、一般には血圧や心拍数が低い。しかし、世界で最も大きな体をもつシロナガスクジラでは、一体どのようになっているのだろうか――長年にわたって多くの動物学者や生理学者が関心を抱いてきたシロナガスクジラの謎を、スタンフォード大学の研究チームが調査に挑んだ。

研究チームらは、カリフォルニア州のモントレー湾にいた推定15歳のオスの個体を発見、ゴムボートに乗って電極が埋め込まれた測定装置をシロナガスクジラの左ヒレに吸盤で固定させ、約8.5時間の測定を行った。

シロナガスクジラの心拍数測定装置
シロナガスクジラの心拍数を測定するデータロガー。
装置を持っているのは、論文を特筆したスタンフォード大学のジェレミー・ゴールドボーゲン助教授。
Youtube-Stanford channel『Stanford researchers report first recording of blue whale heart rate』より。

この測定結果によると、シロナガスクジラは餌場を求めて水深184mにまで潜水したとき心拍数は一気に低下。1分あたりの拍動はなんと4~8回になり、最低で2回にまで減少したという。その後、餌の群れに向かって突進し、海水と共に小魚やプランクトンなどを摂取する”突進採餌”をした際には心拍数は約2.5倍に増加。水面付近にまで戻ると心拍数は1分あたり25~37回にまで増えたという。

心拍数の最高値と最低値は研究チームらの予測から大きくかけ離れており、研究者らはシロナガスクジラの心臓は既に生物としての限界に達していて、これが現在のサイズよりも大きくなれなかった要因であると結論付けた。今後はより精密な測定を行うための改良と、ザトウクジラやミンククジラなどの他のクジラでも計測し、比較を行っていく方針であるという。

エピネシス・コラムズ
・シロナガスクジラという和名に反して、英語圏では”Blue Whale”といいます。