これまでに最も地球に近いブラックホールを偶然発見、見つかりにくい珍しいタイプ

2020年05月12日

ヨーロッパ南天天文台(ESO)をはじめとする研究チームは、地球から約1,000光年離れたところにブラックホールが存在することを今月7日に明らかにした。これは、現在発見されているブラックホールのなかで最も地球に近いブラックホールだ。

ぼうえんきょう座方向、地球から約1,000光年離れたところにある5.3等級の恒星「HR 6819」は、これまでの分光観測によりもう1つの星との連星であることが明らかになっていた。ヨーロッパ南天天文台の研究者らは連星研究の一環として、この「HR 6819」の観測を行っていた。

hr6819
ESO/Digitized Sky Survey 2. Acknowledgement: Davide De Martin / CC BY
ぼうえんきょう座近くにあるHR6819。ヨーロッパ南天天文台、2020年5月6日撮影。

詳しい観測の結果、驚くべき事実が明らかになった。二重連星だと思われていたこの連星系は、ブラックホールを含んだ三重連星であったのだ。実際には、恒星とブラックホールが連星を成しており、さらにその外側をもう一つの恒星が周回していたという。

HR6819 blackhole
ESO/L. Calçada / CC BY
HR6819のイメージ図。ブラックホールと恒星が相互に周回し、その外側を別の恒星が周回している。

これまでに発見されているブラックホールのなかで地球から最も距離が近いとされていたのは、約3,000光年離れた場所にあるいっかくじゅう座X-1だったが、今回の発見により記録が大幅に更新された。
「HR 6819」は5.3等星ほどの明るさで、よく晴れた日なら肉眼でも見ることができる。ブラックホールを含む恒星が肉眼でも確認できるケースは過去に例がないため、観測にあたった研究者らを大いに驚かせた。

このブラックホールが発見された連星のあるぼうえんきょう座に、あまり聞き覚えのない方も多いだろう。それもそのはずで、日本では残念ながら九州南部より南でしか星座の全体をを見ることができないのだ。ぼうえんきょう座に近い場所にあるHR 6819を日本で見ることは難しいだろう。

通常、ブラックホールの発見は降着円盤により放出される強力なX線や、周囲の天体に破壊的な影響を及ぼすことにより発見されるが、今回のブラックホールは強いX線が観測されず、さらに周囲への影響もみられないため、珍しいうえに発見が困難なタイプであった。今回の発見をヒントに、今後はこのようなブラックホールが相次いで発見できるのではないかと期待されている。

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