オリオン座のベテルギウスが急激に減光、超新星爆発の兆候?

オリオン座を構成する星のひとつ、ベテルギウスに大きな変化が見られるという。私たちが待ち望んでいた、超新星爆発は見られるのだろうか?

ESO-Betelgeuse
By ESO/P. Kervella [CC BY 3.0] VLTで100万枚の画像からラッキーイメージングによって作成した画像。ベテルギウスからガスが大量に放出されている事が分かる。

ベテルギウスは地球から約642光年離れた場所にある赤色超巨星で、オリオン座の左上に位置する1等星だ。2016年の記事でも紹介している通り、ベテルギウスは寿命の99.9%に達していると考えられており、超新星爆発を観測できるのではないかと世界中の天文学者らが大きな注目を集めている。

The time falls away in peaceful oblivion
The time falls away in peaceful oblivion flickr photo by sagesolar shared under a Creative Commons (BY) license
オリオン座左上側、オレンジ色に輝く星がベテルギウスだ。

アメリカのビラノバ大学の研究チームらはこのほど、ベテルギウスが2019年10月以降、明るさが急激に失われており、観測史上最低を記録していると発表した。ベテルギウスはもともと脈動変光星なので明るさは0.0等級~1.3等級と変光するが、ベテルギウスがこれほど暗くなったのは初めてだ。

この発表は、一部で超新星爆発の兆候ではないかという声もあるが、これが直ちに超新星爆発の発生を示すものとは限らない。ベテルギウスは2010年の観測で、星の一部が突出してこぶ状になっているなど非常に不安定な状態であることが明らかになっているが、この状態からどのようなプロセスを経て超新星爆発に至るのかは不明だ。それこそ、早ければ明日にも爆発するかもしれないが、遅ければ100万年後ということもありうるのだ。
ベテルギウスと地球は約642光年離れているため、実際の場所では既に超新星爆発が起きている可能性もありうる。

Betelgeuse captured by ALMA
Betelgeuse captured by ALMA flickr photo by European Southern Observatory shared under a Creative Commons (BY) license
2015年にアルマ電波望遠鏡で観測されたベテルギウスの画像。星全体が不均一で、白い部分は電波が強く、周囲より1000度ほど高温であるという。星の左側では膨らんだ構造も観察される。

もしベテルギウスが爆発したらどうなるのか?

大質量の星はその一生を終えるとき、非常に強力な大爆発を引き起こす。これが超新星爆発だ。もしベテルギウスに超新星爆発が起きた場合、数時間後には満月と同じくらいの明るさで青く輝き、例え昼であっても見ることができるようになるという。どの程度かは分からないが、ベテルギウスが照らす光によって、地球上では影ができるほどだ。
この明るさはだいたい100日程度続き、4年後には消滅してしまうという。ベテルギウスは爆発後にブラックホールとなり、その輝きを永遠に失ってしまうことになるのだ。この数年限りの天体ショーは、天文学者だけでなく多くの人々が楽しめるだろう。

ベテルギウスの”ガンマ線バースト”

しかし一方で懸念もある。地球の”近く”でこれほど大きな爆発があったことは未だかつて無いからだ。超新星爆発の際には、星の自転軸の方向に超強力なガンマ線放出が起きる。いわゆるガンマ線バーストだ。幸い、観測によるとベテルギウスの自転軸方向と地球の位置は20°ほどずれていることが明らかになっているが、爆発時に自転軸がどのように変動するのかは誰にも分からない。

もし地球に直撃すれば、地球のオゾン層は大きく破壊され、生物の大量絶滅さえ起きる恐れがあるのだ。天文学者たちはベテルギウスの爆発を待ち望みつつも、その動向を注意深く監視している。