ビールに含まれる苦み成分が、注意機能とストレス状態を改善することが明らかになる

Beer
Beer flickr photo by Wagner T. Cassimiro “Aranha” shared under a Creative Commons (BY) license

順天堂大学医学部精神医学講座の研究者らは、ビールに含まれる苦み成分が認知機能やストレス状態を改善することを明らかにした。この研究は『Journal of Alzheimer’s Disease』に2020年5月26日付で掲載されている。

これまでの研究によって、ビールの苦み成分である「ホップ苦味酸」は腸を通じて脳を活性化させることで認知機能を改善し、脳内の炎症を抑制してアルツハイマー病などの予防に繋がることがマウスなどの実験で報告されていたが、ヒトへの効果はまだよく分かっていなかった。

研究者らは、認知機能低下の自覚症状を持つ45歳~69歳までの健康な中高齢者100名を集めて2グループに分かれてもらった。一方はビールの苦み成分であるホップ苦味酸を摂取してもらうグループで、もう一方は効果のない偽薬を摂取してもらうグループだ。被験者には与えられた薬を飲み続けてもらい、12週目に注意機能と記憶機能、ストレス状態のテストを受けてもらう。

その結果、ホップ苦味酸が与えられたグループでは、選択注意機能を評価するテスト「SDMT」の正答率が、偽薬が与えられたグループと比較して高いことが示されたという。
また、神経心理テスト後に唾液を採取し、ストレス指標であるβエンドルフィンの濃度を計測すると、0週目のときよりも低い値を示したという。
このことから、ホップ苦味酸の継続的な摂取は中高齢者の注意機能、さらにストレス状態を改善することが明らかになったのだ。

確かにこのホップ苦味酸はビールに含まれている苦み成分であるが、この研究成果はビールを日常的に摂取することで認知機能やストレス状態が改善されることを直ちに示したものではない。飲酒はしっかりと休肝日を設け、適度なアルコール摂取を心がけよう。

今後はホップ苦味酸を使ったサプリメントや、独特の苦みを生かした健康志向のビール風ノンアルコール飲料の開発、そしてアルツハイマー病などの治療に役立つことが期待される。