BCGワクチンに新型コロナウイルス感染症の予防効果なし、イスラエル・テルアビブ大学

2020年05月19日

BCGワクチンに新型コロナウイルス感染症の予防効果なし

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、今なお猛威を振るっている感染症であり、さまざまな研究が世界各地で行われている。とりわけ日本で大きく注目されたのはBCGワクチンの有効性についての研究だ。

BCGワクチンとは、結核を予防するために生後1歳までに接種するワクチンで、9本の針がついた管針(かんしん)と呼ばれる医療器具を使用することから”はんこ注射”とも呼ばれている。このBCGワクチンは直接接種してしまうと強い局所反応が出てしまうため、はじめにワクチンを皮膚に塗ってから9本の針で皮膚に傷をつけ、そこからワクチンを吸収させるのだ。

参考記事 – はんこ注射(BCG)が使われている理由とは?なぜあの形なのか?

このBCGワクチンは、日本のように接種が義務付けられている国や、接種が中止されている国、州によって接種義務が異なる国などがある。アメリカ・ニューヨーク工科大学の研究者らは、新型コロナウイルスの感染者数や死亡者数が、BCGワクチンの接種を行っている国では低いことを見出し、論文を発表した。

この論文ではイタリアやアメリカ、ベルギーなどBCGワクチンの接種が中止、または一部のみ実施されている国では新型コロナウイルス感染症による死亡率が高く、日本をはじめとするワクチン接種国では死亡率が低いことが示されており、大きな注目を集めた。

この研究を受けて、日本では新型コロナウイルス感染症を予防する目的でBCGワクチン接種を希望する人が急増し、平時はBCGワクチンの接種を扱っていない医療機関で、本来は針でわずかな量だけ吸収させるBCGワクチンを誤って全量を皮下注射してしまうという事故まで起きている。もちろん、このワクチン接種は結核の予防ではなく新型コロナウイルス感染症の予防を目的とした”適応外使用”のためであったという。

BCGワクチンには「予防効果なし」

イスラエル・テルアビブ大学の研究者らは、BCGワクチンと新型コロナウイルスの関係を確かめるべく調査を行った。イスラエルでは1982年までBCGワクチンの定期接種が行われており、40代くらいの人ではBCGワクチンを接種した人と、接種していない人の2グループに分かれているのだ。

イスラエルで今年3月~4月初旬に新型コロナウイルスのPCR検査を受けた人のうち、1981年までの3年間に生まれた人、つまりBCGワクチンを接種した3,064人では、約11.7%に相当する361人が陽性であった。
一方で、1983年以降の3年間に生まれた、BCGワクチンを接種していない2,869人では10.4%に相当する299人が陽性であったという。BCGワクチンの接種を行っている人と行っていない人では、統計的に有意な差は認められなかったのだ。

現在、新型コロナウイルス感染症については世界各地で研究が行われ、さまざまな情報が多く発信されているが、研究の多くは暫定的なものであるため、何事もむやみに信じ込んでしまわないように注意しよう。

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