世界でまだ確認されていないダイオウグソクムシの脱皮、今回も脱皮中に死んでしまう


Giant Isopod flickr photo by NOAA Ocean Exploration & Research shared under a Creative Commons (BY-SA) license

世界初の完全脱皮が期待されていた、三重県鳥羽水族館で飼育されているダイオウグソクムシが死んでいることが12月10日に明らかになった。

ダイオウグソクムシ(Bathynomus giganteus)はダンゴムシやワラジムシ、フナムシなどの等脚目のなかで最も大きな種だ。おもにメキシコ湾や西大西洋の深海に生息しており、海底に沈んだ魚やクジラなどの死骸を食べて生活するため「深海の掃除屋」とも呼ばれている。

本種の特徴は何といってもその「大きさ」にある。日本最大の等脚目であるオオグソクムシが体長約15cmまでに成長するのに対して、ダイオウグソクムシは最大で50cm、体重は1kgにも達することがある。まさに”ダイオウ(大王)”の名に恥じない生物だ。ちなみに、名前の”グソク”は日本の甲冑(かっちゅう)の別称である具足(ぐそく)に由来している。


ダイオウグソクムシ flickr photo by TAK. shared under a Creative Commons (BY) license
オオグソクムシとダイオウグソクムシ。その差は歴然としている。

しかし、ダイオウグソクムシでは他のグソクムシの仲間とは異なり、徹底した管理が必要になる。オオグソクムシは水温18度までは大丈夫だが、ダイオウグソクムシでは水温が1桁を超えるとすぐに死んでしまうという。また、光にも非常に敏感で、オオグソクムシでは蛍光灯程度の明かりなら大丈夫だが、ダイオウグソクムシでは光に当たると失明を起こしてすぐに死んでしまうというのだ。
だが、現在では国内での飼育管理方法も確立され、多くの水族館でダイオウグソクムシの展示が行われるようになった。

三重県鳥羽水族館も、ダイオウグソクムシを展示している施設の一つだ。この鳥羽水族館で飼育されている体長約31cm、重さ約1kgの通称「No.23」という個体では、今年9月頃からある”興味深い現象”が観察されていた。ダイオウグソクムシの”脱皮”である。

ダイオウグソクムシの脱皮

ダイオウグソクムシの脱皮が観察されることは世界的に珍しく、確認された例はこれまでに国内で3例(そのうち2例は鳥羽水族館)、アメリカで1例のみであった。
ダイオウグソクムシでは、最初に体の後半部分から脱皮し、この部分がしっかりと硬化したあとで前半部分の脱皮を行うとされる。しかし、これまでに確認されている4例はすべて、体の後半部分を脱皮した時点でまもなく死んでしまっているのだ。

今年10月13日の時点で、「No.23」は後半部分の脱皮が成功していた。このまま順調に進めば、前半部分も脱皮して世界初となる”完全脱皮”になると思われていたが、12月10日に「No.23」が死んでいるのを飼育員が確認したという。少なくとも、後半部分が脱皮した時点では”元気な様子”を見せていたというが、死んでしまった詳しい原因は分かっていない。鳥羽水族館では今後、「No.23」の死骸を解剖して、詳しい原因を調べる方針であるという。

ダイオウグソクムシはもちろん脱皮をして大きくなるため、成長していく上で必ず行われるプロセスであるが、確認例が無いために詳しいことはまだ明らかになっていない。未だに謎に包まれたダイオウグソクムシの完全脱皮が、願わくば日本で観察されることを期待したい。

あなたにおすすめの記事

あなたは、”青いダンゴムシ”を見たことがあるだろうか?
ダイオウグソクムシはダンゴムシのように丸くなることができるが、逆にこの動物のほとんどは丸くなることができない。
ダイオウグソクムシの体がわずかに赤みがかっているのは、これが理由かもしれない。
ジンベエザメの口から、なんと1,000匹もの新種のヨコエビが発見された。

生命科学カテゴリの最新記事