喘息持ちの人は新型コロナウイルス感染症にかかりにくい、国立育成医療研究センター

2020年6月4日

Novel Coronavirus SARS-CoV-2
Novel Coronavirus SARS-CoV-2 flickr photo by National Institutes of Health (NIH) shared with no copyright restrictions using Creative Commons Public Domain Mark (PDM)

国立成育医療研究センターの免疫アレルギー・感染研究部の研究者らは、新型コロナウイルス感染者は気管支喘息の有病率が有意に少ないことを明らかにした。どうやら、気管支喘息患者は新型コロナウイルスに”かかりにくい”という。

研究者らは中国、アメリカ、メキシコの8都市から報告された新型コロナウイルス患者17,485名のデータを解析し、気管支喘息との関連性について解析した。
その結果、一般集団における気管支喘息の有病率は7.95%であるのに対し、新型コロナウイルス患者における気管支喘息の有病率は5.27%であったという。

また、中国とアメリカの新型コロナウイルス患者2,199名(うち1,193名が軽症者、1,006名が重症者)を調べたところ、糖尿病や慢性閉そく性肺疾患(COPD)の患者では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で重症化しやすかったのに対し、気管支喘息では重症化とは相関していなかったという。

なぜ気管支喘息患者では新型コロナウイルスにかかりにくいのか?

新型コロナウイルスは、最初に私たちの呼吸器の上皮細胞に侵入して増殖を開始する。新型コロナウイルスではアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を利用して侵入するのだ。
喘息患者ではどうやらアレルギー疾患に関連するインターロキシン-13によって、呼吸器上皮細胞上にあるACE2の発現が低下しており、さらに喘息患者ではACE2の発現を高めるインターフェロンが産生されにくいという。

通常のコロナウイルスは、風邪の原因ウイルスとして知られているが、侵入する際に利用する分子は新型コロナウイルスとは異なる。一方で、SARSは新型コロナウイルスと同様にACE2を利用しており、SARS流行においても気管支喘息患者が少なかったことが報告されていたという。

研究者らは今回の研究成果について、喘息患者は新型コロナウイルス感染症を過小評価せず、さらに新型コロナウイルスを予防する目的で喘息の治療薬を減量・または中止にすべきではないと主張している。喘息の治療薬のなかには、”せっかく”発現が低下しているACE2の状態を元に戻してしまうものがあるからだ。

続けて、研究者はコメントで「喘息が新型コロナウイルス感染症の罹患率と死亡率に与える影響を最終的に判断するには、さらに慎重な調査が絶対に必要です。」と述べている。この研究成果によって私たちが変えるべき行動は何もないが、喘息持ちの方は少しほっとしたかもしれない。

あなたにおすすめの記事




医学カテゴリの最新記事