北極の海洋生物たちは船のわずかな光で行動が変化する、ノルウェー北極大学

Tromsø docking 2
Tromsø docking 2 flickr photo by Lee-yoshi shared under a Creative Commons (BY-SA) license

北極の海面下200mに生息する海洋生物は、船舶から発せられる人工的な光にかく乱されているという研究成果が発表された。極夜の期間中に行われる個体群調査は、海洋生物たちをかく乱し、結果的に調査にも悪影響を与えているかもしれない。

あらゆる生物は自然光を手掛かりに行動パターンや移動パターンを調整している。しかし、街灯の周りを虫がぐるぐると飛ぶように、人工的な光は生物の方向感覚を失わせ、生態系を阻害することが知られている。その一方で、人工光が海洋生物に対して与える影響についてはこれまで解明が進んでいなかった。例えば海洋生物たちは、海面から入るわずかな光を利用して、獲物の影を捉えることができる。

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特に、北極において半年ほど続く極夜が発生する地域では、魚類や動物プランクトンが夜の光のわずかな変化に依存して生活していることが知られており、ノルウェー北極大学の研究者らは調査に乗り出した。

研究チームらは、船舶による人工光にさらされた魚類や動物プランクトンの群集がどのように反応するかを北極圏の3つの地点で測定した。その結果、船舶が照明を点灯すると、魚類や動物プランクトンの行動が5秒以内に変化することが明らかになったという。より正確には、深海までの海面下200mまでの範囲にいる生物の遊泳行動と垂直位置が変化したのだ。

3つの測定地点における光の影響はそれぞれ異なっており、特に夜間での暗黒度が最も高い最北の測定地点で最も行動変化が顕著であったという。以上のことから、極夜における生物調査や、資源調査を行う際には十分にその考慮すべきである、と研究者らは結論付けている。