インドネシアの森林火災、煙で空が真っ赤に染まる

2019年9月26日

インドネシアでは現在、数週間に渡って森林火災が発生している。出火の原因は農家による焼き畑であるとされており、CNNインドネシアによれば面積にしてこれまでに32.8万ヘクタール、東京都の約1.5倍に相当するほどの広大な森林が焼失したという。インドネシアにおける森林火災は毎年のように取り上げられているが、特に今年は日照りが続いていたこともあり、例年よりも大きな被害が出ている。

特に問題となっているのは煙による被害、煙害(えんがい)だ。森林火災により発生した濃い煙が、インドネシアのみならず近隣諸国にまで広がっており、住民たちの健康や環境への影響が懸念されている。

インドネシアの特殊な泥炭火災

これは9月21日にインドネシアで撮影された動画だ。空が真っ赤になっているが、夕方ではない。森林火災による煙によって、昼間であるにも関わらず、まるで夕焼けのように空全体が赤く見えるのだ。

インドネシアの森林火災によって発生する煙は、ただ木が燃えただけのものではない。インドネシアでは泥炭地(でいたんち)と呼ばれる、石炭化した泥からなる地層が広がっている。これは枯れた植物が沼地などでうまく分解されずに蓄積されたもので、泥炭は乾燥すると燃料に利用できるほどの可燃性がある。この泥炭地にまで火災が広がると、延焼して被害が拡大してしまうだけでなく、大量の窒素酸化物、硫黄酸化物、およびPM2.5などの大気汚染物質が発生するのだ。

この”赤い空”はインドネシア気象気候地球物理庁の説明によると、微粒子による散乱現象が原因であるという。森林火災によって発生した大量の微粒子が大気中に拡散されたことで、散乱されやすい青い光が地表まで届きにくくなり、逆に散乱されにくい赤い光だけが多く地表に届くために空が赤く見えたのだ。夕方に空が赤くなるのも、実は同様の散乱現象によるものである。


Sunset flickr photo by timo_w2s shared under a Creative Commons (BY-SA) license
青い光は波長が短いために散乱されやすく、赤い光は波長が長いために散乱されにくい。
夕方では、昼間と比べて太陽光が大気を通過する距離が長くなるために、散乱されにくい赤い光だけが地表に多く届くために赤く見える。

地球温暖化への影響も

この森林火災は地球温暖化という形で、より長期的な影響を及ぼす可能性がある。泥炭地は地球上の陸地面積の約3%ほどしかないが、そこには全土壌に含まれる炭素の約3分の1、ひいては世界中の森林を合わせたより多くの炭素が蓄えられているのだ。泥炭地が燃えると、地中の泥炭にまで火が広がり、消火が困難になるだけでなく、通常の土地が燃えたときの約20倍もの二酸化炭素が排出されるという。

インドネシアの森林火災は、乾季がピークを迎える9~10月によく発生するとされているが、泥炭地にまで広がった森林火災の消火はほとんど不可能で、雨季を待つしかない場合もあるが、年によっては乾季が12月まで長引くこともあり、事態はより長期化する恐れがあるという。

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