最新のがん5年生存率、すい臓がんが圧倒的に低い理由は?

2019年08月14日

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国立がん研究センターは、2009年と2010年に全国にあるがん診療連携拠点病院の277か所でがんの診断を受けた、約56万8,000人分のがん患者の分析結果を発表した。これによると、がん患者が診断から5年が経過したときの、がん以外の死因を取り除いた5年生存率は全体で66.1%であることが明らかとなった。この結果は、2008年と2009年の報告よりも0.3%上昇していた。

がんのうち、最も5年生存率が高かったのは前立腺がんで98.6%。一方で、最も低かったのはすい臓がんで9.6%と、がんの種類によって生存率に大きな差が見られ、難治性のがんへの対策が非常に重要であることが示された。

がんと診断された患者の5年後の相対生存率(2009年・2010年)

前立腺がん  98.6%
乳がん    92.5%
子宮体がん  82.1%
子宮頸がん  75.3%
大腸がん   72.9%
胃がん    71.6%
膀胱がん   69.5%
食道がん   44.4%
肺がん    40.6%
肝臓がん   40.0%
すい臓がん   9.6%

悪名高いすい臓がん

上記の報告を見てもわかる通り、すい臓がんは他のがんと比較しても5年生存率が圧倒的に低いことが分かる。なぜ、すい臓がんはこれほどまでに低いのだろうか?
そもそもすい臓とは、胃の後ろ側にある長さ20cmほどの細長い器官だ。消化液であるすい液を作って、これを胃と小腸のあいだにある十二指腸へ送り込み、さらに血糖値を調整するインスリンなどのホルモンをつくる働きもある。

体の深部にあるすい臓は、がんが発生しても症状が現れにくいうえに、がんを発見することが難しい。よくみられる主な症状として腹痛や背中の痛み、食欲不振やお腹の膨張感などがあるものの、いずれも一時的な体調不良と思われやすい症状だ。

早期発見できたとしても治療は難しく、診断時に手術が可能な患者は約20%に過ぎない。さらに、術後の再発率が高いことも、生存率を低下させている要因の一つだ。今回の報告によると、すい臓がんの進行度はⅠ期という早期であっても5年生存率は43.3%に留まっている。

すい臓がんのリスク要因は?

他のがんでも共通しているが、喫煙はすい臓がんの重要な危険因子とされており、喫煙者は非喫煙者よりもすい臓がんを発症するリスクが2倍とされている。喫煙は、すい臓がん全体の約20~30%の原因になっている可能性があるともいわれている。

さらに、過度の飲酒も大きなリスク要因である。大量のアルコール摂取によって慢性すい炎を発症すると、すい臓がんのリスクも上昇する。研究では、慢性すい炎の診断から20年以内に約4%の患者がすい臓がんを発症すると推定されている。

他にも、糖尿病を患っている場合や、家族がすい臓がんを発症している場合にはすい臓がんを発症する可能性が通常よりも高くなると考えられている。これらに該当する人は、発症リスクを高める他の要因に対して十分な注意を払う必要があるだろう。

他のがんにおいても同じであるが、最も重要なのは予防と早期発見だ。自らの遺伝的な体質や病気などを理解し、喫煙や過度な飲酒などのリスク要因を避けて、定期的に病院で検査することが大切だ。

病院で診療を受けることは肉体的・精神的、そして経済的にも負担に感じるかもしれないが、がんを含めたあらゆる病気は、治療が遅れて症状が進行すると、後になってそれ以上の大きな負担がのしかかることになる。体に何らかの不調がある場合には、その不安を解消するためにもしっかりと診療を受けるべきなのだ。

詳細は国立がん研究センターのウェブサイトをご覧ください。

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